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木の葉芽吹きて大樹為す
萌芽時代・抱負編
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らに対抗出来る者と言えば、奴らしかおるまい」

 千手の中でも長老格の忍びがそう言えば、一族の者達が次々に怒りの声を上げる。
 そんな中で、私の心は恐ろしい程凪いでいた。

「……わかった。報告、ご苦労だった。敵の襲撃を受けた地点を覚えているか?」

 一族の者達に彼の体を任せ、影分身を作る。……まずは、報告の真偽を確かめなくては。

「オレの影分身を襲撃された場所へと向かわせた。情報の真偽が判明次第、会合を開く。暫くは負傷者の看護や集落の警備を強化しておけ」
「――はっ!」

 先に運ばれて行った一族の者からも話を聞いておかなければならない。
 何か言いたげな扉間やミトの物言いた気な表情に気付かぬ振りをして、私は足を早めた。



「すみません、柱間様。お見苦しいところをお見せ致します」
「構わない。こちらとしても治療ついでにお前の話を聞きたいと思っていた」

 先に運ばれて行った一族の忍びの元へと向かう。
 千手の中でも医療行為に従事している者達が揃って私に対して頭を下げる中、先程まで大火傷を負っていた男は、私を見つけて頭を垂れた。
 起き上がろうとするのを遮って、先程中断させた治癒の続きに入る。
 部屋の中に居た者達に目配せをすると、心得た様に皆下がって行った。

「――……話は聞いた。お前達を……父上達を襲った襲撃者はうちはの者達で間違いないのか?」
「はい。移動中に奇襲を受け、我々二人を除けば皆……やられました」

 ――やはり……父上達の生存は絶望的なのか。
 胸の奥から破って出てきそうな何かに必死に蓋をする。
 声だけは嫌になる程、淡々とした響きを宿したままだった。

「ここ最近の雨天続きでよくぞここまでの火傷を作れたな。相手は余程の手練だったのか」
「そうですね。相手の数は我々よりも多かったのですが、その中でも群を抜いて異彩を放っていたのが……二人」
「二人?」
「ええ。うちは一族の、子供です。歳はおそらく扉間様と同じ位でしょう。その二人の兄弟が放つ火遁の術。この天気の中でも、これだけの威力を発揮しました」

 全く、末恐ろしい子供がいるものだ。
 そんな事を思いながら、治癒を終了する。体の隅々まで治療は終了したが、それでも傷を負った事での精神的な疲労は生半可な物ではないだろう。そのまま清潔な寝台の上に載せて、布団をかけてやった。

「……マダラと、イズナ。そう呼ばれておりました。おそらく、今後のうちは一族を担って行くのはあの二人で間違いないと思われます」
「分かった。報告感謝する。怪我は完治したとはいえ、疲労はたまっている。暫く安静しておけ」
「柱間様……いえ、頭領」

 背中を向いた途端、頭領と呼ばれた。
 振り向きたくなるのを必死に堪えて、殊更冷静
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