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木の葉芽吹きて大樹為す
萌芽時代・出逢い編<後編>
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……兄上の方こそ、お疲れなんですから」

 そう言ってこちらを気づかう様な表情の弟に、軽く苦笑して銀色の頭を撫でる。
 いつもは光を浴びて鈍い光を放つ筈の銀色の髪が砂塵や埃で汚れてくすんだ色に変わっていた。

「オレは大丈夫だ。ミト、この聞き分けの無い弟を風呂場に放り込んで来てやれ」
「分かりましたわ、柱間様! さ、行くわよ扉間!」
「ちょ、ミト!」

 おやおや。美少女に手を繋がれて、扉間が顔を赤くしている。
 そのまま二人の姿を見送って、私は踵を返す。
 そうして父上の部屋の前に報告のために廊下を歩いている最中に、不意に脳裏に影分身の経験した記憶が流れ込んで来た。

「……迂回路を取って正解だったな」

 軽く腕を組んで、柱に凭れ掛かる。
 脳裏に過って行く鮮烈な記憶に、眉間に皺が寄る。あの先輩忍者が怯えるのも最もだった。
 過去の自分に拍手を送ってやりたい。
 もしあそこで最短距離を選んで、迂回しなかったら、おそらく自分以外の全員がやられていたかもしれない。
 自分一人ならば兎も角、他に仲間がいる状態では逃げる事すら難しいだろう――あの、最強の獣には。

 そして、他に忍びがいたままでは天災とまで例えられた獣を前に、あんな暢気な態度は取れなかっただろう。

 恐ろしいまでに圧倒的で、傲岸不遜で、自由気侭に世界で荒ぶるチャクラの化身。
 ――また、影分身を送ってみようか。

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