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木の葉芽吹きて大樹為す
萌芽時代・出逢い編<前編>
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胞取られたりとか……なにそれ怖すぎる。

 怖気の走る事を考えてしまったせいか、寒くもないのに鳥肌が立つ。
 もうやだ、将来的に細胞単位で狙われる様になっちゃう立場なんて。

「――――!」

 そんな事を考えたせいで憂鬱になっていた時、先程まで静かだった森の中で誰かの声が聞こえてきた。

「――――! ――!!」
「――――!?」

 どうやら空耳でも、気のせいではないらしい。
 話し声の種類からして人数は最低でも二人。声の質からして……子供だろうか?

 千手一族は他に比べると緩やかであるそうなのだが、今は戦国時代。
 どこの一族でも人員不足を補うために、片っ端から戦場に幼い子供が投入する事が多い。
 かく言う自分とて、向こうの世界におけるある種の少年兵みたいなものだ。

 そんな事を考えながら、気配を消した状態で声の方へと近付く。
 木々の生い茂る隙間から覗いた二つの頭を目にして、ああやっぱり子供だったかと頷いた。

 固そうな黒髪とさらさら系の黒髪の……少年達。
 背格好もよく似ている事だし――となると兄弟なのだろうか。

 しかし、近付いてみて解ったのだが、さらさら髪の少年は怪我している様だ。
 血の匂いを消す薬が撒かれた様で匂いこそ失せてはいるが、目視出来るだけでも結構な量の血が流れ出ている。

 固そうな髪の少年の方が医療忍術を使えるのであれば兎も角、あのままじゃ出血多量で下手すれば死んでしまう。
 気付いた以上、見て見ぬ振りは……出来ないよな。

「――誰だ!!」

 わざと物音を立てて姿を現すと、黒髪少年達が振り返る。
 揃ってこちらを見つめているから、その面差しが似ているのがよくわかる。やっぱり兄弟か。

「ええ、と。単なる通りすがりだ」
「ただの通りすがりがそんな業物を持っているとは到底思えん」

 ……ですよねー。

 固そうな黒髪少年……おそらくこっちの方が兄だろう。さらさら君よりも大人びて見えるし。
 刃が中程で折れた日本刀をこちらに向けた状態で威嚇してくる。

「となると、オレ達の後を付けて来た……敵か!」
「ちょ、待てっ!!」

 何、この子滅茶苦茶こえぇ!
 まだ何にもしてないのに、こっち目がけて襲いかかって来たぁ!

「落ち着け! オレは敵じゃないって!」
「黙れ!!」
「敵じゃないんだってば!」

 両手を上げた状態で、俗に言うホールドアップをしてみたんだが、文化の違いのせいか火に油を注いだだけのようだった。
 もうやだ、この子怖い!

「吐け! 何が目的だ!!」
「いーから落ち着けって! この分からず屋!!」

 ぎらぎら光る日本刀を振り回しながら赤い目で睨んでくる少年の聞き分けの無さに、思わず怒鳴る
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