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少女1人>リリカルマジカル
第二十話 少年期B
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たのかわかったかもしれない。想像だけどそれはきっと、それでも助けたかったからじゃないかって。…これから先も目をつぶることができなかったから。


「もっと世界が安定していけば、もっとみんなが平和に暮らせるような技術や魔法ができていけば、そんな人も減ってくれるかもしれない。私が止めてきた人達も、幸せに生きていけた未来があったかもしれないって思ったわ」

 おそらく、母さんがそのまま嘱託魔導師として働いていても、管理局とかに入局して魔導師として働いていても、救われた人はたくさんいたと思う。だけど、それをするには母さんは優しすぎたんだ。

「世界のみんなのためになる技術を作っていきたい。最初は小さなものかもしれない。けれど、それがいずれ世界を守ってくれるような大きな力になってくれるかもしれない。そう思って私は、この道を選んだわ」
「すごいね、なんだか」
「ふふ。でもそんな高尚な、立派なものじゃないかもしれないわ。ただ単に魔導師が合わなかっただけかもしれないし、アルヴィンに話した通り調べることが好きだったのもあったから」

 そう言って母さんは静かに微笑む。もしかして、と俺は思う。今から3年前に、ヒュードラの開発に母さんは抜擢された。それが強制だったのかどうかはわからない。だけど、ずっと辛かったヒュードラの開発を、母さんは一生懸命に行っていた。

 やめることは…、難しかっただろうけどできなくはなかったと思う。でもそれをしなかったのは、俺たちのことや、研究者としての実績や信用も落ちてしまうかもしれない、とか理由は色々思いついた。だけどもしかしたら、母さん自身が何よりも作りたかったのかもしれない。ヒュードラを、みんなのためになる技術を。必死に。


「それでも素敵なものだって俺は思うよ。母さんの思いも、母さんの作った開発チームも」
「私もね。お話は難しかったけど、お母さんたちがすごく頑張っているんだってわかったよ」
「あ、えっと、本当に大した話じゃないのよ。少し大げさに言ってしまった部分もあるから……」

 アリシアの言葉に、俺もうなずいてみせる。そんな俺たちに、母さんは俺たちの言葉にちょっと顔を赤く染めながら、言葉を詰まらせる。その後、恥ずかしそうにつまらない話をしてごめんね、って謝ってきた。

 そんな母さんの言葉に、俺たちは顔を見合わせる。謝られる理由が全く思いつかないし、つまらないとも思わなかった。でも、母さんとしては申し訳なさそうにしている。俺たちはそれを見て、コーラル曰く悪巧みをしてそうな笑みをお互いに浮かべた。さすが我が妹、以心伝心。

「なぁ、アリシア。テスタロッサ家ではよくできた人には何をしてあげるんだっけ?」
「確かね。頭を撫ぜ撫ぜしてあげるんだよ」
「えっ?」

 俺と妹のやり取りに母さんが
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