第二十話 少年期B
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れそうだった。俺は流れている水を止めるために、蛇口の口を閉める。
いやぁ、それにしても涼しそうだ。日陰で作業していたとはいえ、やっぱりまだ日差しが暑かったからな。透き通った水に光が反射して、きらきら輝いているようだ。
「しっかし、昨日風呂上がりのアリシアがいきなり、『大変だよ、お兄ちゃん。今年プールに入ってなかった!』って言ったときは驚いたな」
『僕としてはその後に、『やっべ、まじだッ!』とすごく深刻に捉えたますたーの手によって、次の日にこうしてプールが用意されている現状に驚きなのですけど』
「ありがとう、お姉さん」
『ほんとにね』
さすがに夜に連絡するのは失礼だと思い、朝一番にお姉さんにモーニングコールしてみた。そしたらなんとプールに入ることを了承してくれたのだ。施設の子ども部屋から少し古いが、大きめのビニールプールを用意してくれた。
それに今日は、母さんも用事がない日だったのでまさに渡りに船。どうせ施設の中で過ごすことになるんだったら、家族みんなで水浴びをしようということになったのだ。
「外出は禁止だけど、こういうことを大目に見てくれて助かるよ」
『そうですね。そういえば、随分快く貸していただけたって聞きましたけど』
「うん。お姉さんが、『こんなもので君たちが収まるのなら、いくらだって貸してあげるわ…』って言ってくれた」
『それは、ちょっと意味が違う気が…』
それにしても、お姉さんにはもう一度ちゃんとお礼を言っておこう。やっぱりここで一番お世話になっている人だし。俺たちがこんな風にできるのは、お姉さんが色々手をまわしてくれているからなんだ。……何かいいアイデアはないだろうか。
「お待たせー!」
「ごめんなさいね、アルヴィン。プールの水を入れてくれてありがとう」
「いやいや。俺と違ってそっちは色々準備があるんだし、気にしなくていいよ」
女の人の準備って長くなってしまうのは当然だろうから。風呂の時間とか朝の準備とか着替えとか。前世でも一応経験してきたし、今なんて女系家族みたいなもんだからさらに慣れた。俺の場合下を履きかえれば終了だし、これぐらいはやっておきますよ。
実際、母さんもアリシアもいつもとはだいぶ印象が違う。髪型も母さんは長い髪を緩い三つ編みで束ねているし、妹は2つ括りでおさげにしている。水着も2人によく似合っていて、正直眼福です。
それにしても、施設の庭の一角を借りさせてもらったけどいい場所だな。給水場も近くにあるし、隅で角側だから人気もない。まだ暑いから、日中にわざわざ外に出てくる人が少ないのも要因だろう。おかげでかなり伸び伸びできる。
「あれ、そういえばリニスは?」
「リニスなら……あっ、いた」
アリシアが指をさす先を見ると、プール
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