第二十話 少年期B
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張費とか人件費とかその他もろもろ削れるし』
「もはや隠そうともしないアッシー扱い!?」
堂々と公私混同してきたよ、このおじいちゃん! ここまできっぱり言われると逆に清々しいよ。そしてお金に関してはめっちゃ目がマジだった。
『あと坊主が同じ職場で働くと知った、あいつの反応も面白そうじゃし』
「……どうしよう。それは俺もすごく見てみたい」
『すごく楽しそうな笑顔になったのぉ』
あれは運命を感じたね。まさかあんなにも俺が求めていた逸材が偶然現れたのだから。俺とおじいちゃんは同じ人物を思いかえしながら、それはそれはお互いに満面の笑みを顔に浮かべていた。
『うわぁ、すっごく悪巧みしてそうな顔ですねー』
うっさいよ、コーラル。……否定はしないけど。
******
「んー、しかし実際問題どうするかだな」
『昨日の話のことですか?』
「まぁね。おじいちゃんの言うとおりいじりたいのは確かだけど、それを理由に就職するつもりはないし。でもいじりたいし、でかなり揺れてる」
『理由が素でひどい』
それは俺も思うけど、こればっかりは性格だしさ。自分でもそれでいいのか、と自問してしまうときはあるけれど。それにしても、おじいちゃん俺の性格わかっているな。セールスポイントをしっかり押さえているよ。
「さて、冗談半分はさて置き」
『え、本気が半分だけ?』
「……冗談3割ぐらいはさて置いてだ。ちょっと本気で考えねぇと」
おじいちゃんとしては本当に冗談だったかもしれない。けれど俺のこれからの方針的には、どうしてもあの人たちの力が必要なのだ。今回の件はお互いにwin−winの関係になれたから、協力者としてつながりを持てた。おじいちゃんの立場と俺の持っていた証拠が見事に一致したからだ。
だけど、今回のことが終わった後、それでさよならをするには俺としてはまずい。どうしてもおじいちゃん達との関係を継続させる必要が俺にはある。俺だけの力では、どうやっても解決できない問題があるからだ。
「それには向こうにも、継続させるだけの利益を持たせる必要がある。でも俺にはもう渡せる物も有益な情報もない。向こうが欲しがりそうなもので残っているのは、俺自身の能力だけか…」
思い至った考えに自分でも顔が曇るのがわかる。それでもやるからには、せめてものことだけはしたいと決めたんだ。これは真剣に決めよう。明後日のおじいちゃん達との話し合いで可能かどうか、可能なら条件はどうなるのかを聞かないと判断がつかない。
『あ、ますたー。満杯になってきましたよ』
「おっ、ほんとだ。サンキュー、コーラル」
コーラルの呼びかけに俺は意識を戻し、手に持っていたホースを引いた。危うくビニールプールから水が溢
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