無印編
第二十話 裏 後 (クロノ、レイジングハート、リンディ、なのは)
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込められた桃色の光。それは死刑を執行する死神の鎌のように段々と迫り来る。
「くっ!」
無駄だ。無駄だと分かっていながらも、迫り来る死の恐怖からクロノは三層のプロテクションを展開する。だが、それはまるで、そこに何もなかったようにあっさりと貫かれてしまった。クロノの魔力を絞りきった全力のプロテクションだったのだが、SSS魔力を前にしては、ないも同然の防壁だったようだ。
そして、クロノは視界一杯に染まる桃色の光とSSSの魔力によって生じる痛みによって一瞬で意識を失うのだった。
◇ ◇ ◇
レイジングハートは木の葉のように落ちていくクロノを見て満足していた。昨日の決断は間違いではなかったと。そのように判断しながら、彼女は昨夜のことを回想する。
まるで、祈りを捧げる聖女のように十字架の代わりにジュエルシードを握って祈りを捧げるレイジングハートのマスターである高町なのは。
だが、残念なことになのはがいくら祈りを捧げようとも、願いが叶うことはないことをレイジングハートは知っている。
「……どうしてっ!? どうしてっ!? どうしてなのっ!?」
半狂乱になったようになのはは、ジュエルシードに語りかける。だが、それにジュエルシードは応えない。いや、正確には応えられない。なぜなら、ジュエルシードを封印したのは、Sランクの魔力を持つなのはだ。その封印の深度は、次元航行艦が持つ魔力サーチすら捕らえられないほどである。故に、彼女の願いはジュエルシードに届かない。
「お願いだから、私の願いを叶えてよ」
縋るように、願うようになのははジュエルシードに望みをかけていた。
その姿を見て、レイジングハートは悔やむ。なのはがこんなにも強く願っているのは、模擬戦の敗戦であることは容易に想像できたからだ。なのはは全力だった。あの戦いの中でも成長しながらもクロノには届かなかった。いや、なのはが魔法とであってから一ヶ月ということを考えれば、善戦しただろう。
だが、善戦しただけでは意味がないのだ。善戦しようが、あっさりと敗北しようが、結論は変わらない。高町なのははクロノ・ハラオウンに敗北したという事実は変わらないのだから。
そして、勝利に導けなかったのはレイジングハートにも責任の一端があると思っていた。シミュレーションで数をこなすことに終始してしまい、戦いの中の揺らぎにまったく反応できなかったからだ。シミュレーションと実戦の違いと言ってしまえば、それだけだが、もしも、レイジングハートがそれを既に学んでおり、なのはに指導していたなら、もしかしたら勝敗は逆だったかもしれない。
そもそも、望まれた勝利を与えることこそがデバイスの本懐だ。そして、あのときほど、なのはが勝利を望んだ瞬
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