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リリカルってなんですか?
無印編
第二十話 後
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った! 勝ったっ!』

 誰もがそれを異様なものを見るような目で見ていた。僕は何ともいえない不思議な気分だ。もしも、これがなのはちゃんが元のなのはちゃんのような子どもがやれば、無邪気に喜んでいるといえるだろう。だが、目の前のスクリーンに写るなのはちゃんは、大人と言っても過言でもない年齢なのだ。子どものように喜ぶという動作がなんともちぐはぐだった。

 しかし、なのはちゃんはそんなに負けたことが悔しかったのだろうか。いや、それだと昨日の恭也さんの言葉がおかしくなる。あれは、僕との時間を作るための勝負だったはずだ。ならば、今日のお昼に約束したとことでなのはちゃんの目的は達せられたはずなのだ。だから、今回のようにクロノさんとの模擬戦の勝負にこだわる必要はないはずだ。

 もしかして、僕はまだ何か見落としている、あるいは、まだ僕の知らない何かをなのはちゃんは抱いているのだろうか。

『ショウくんっ! 見てたっ! わたし、かっ……た……よ』

 突然、考え事をしている最中に名前を言われて驚いたが、それよりも驚いたのは、僕に勝利報告している途中で、なのはちゃんが糸が切れた操り人形のようにふっ、と支えを失い、前のめりに倒れたことだ。しかも、倒れる途中で再び桃色の繭に包まれ、今度は短時間で再び姿を現したが、今度は真っ白な聖祥大付属小の制服と元の年齢のなのはちゃんだった。

 だが、そんなことはどうでもよく、それよりも倒れたことが気になった。

「なのはちゃんっ!?」

「なのはっ!!」

 さすがにこれは兄である恭也さんも気になったようだ。もしも、訓練室の場所が分かっていたら、すぐにでも駆け出していただろう。僕だって駆け出していたはずだ。だが、場所が分からない今はスクリーンを見ているしかない。

 逆にリンディさんにしてみれば、今が好機だったのだろう。クロノさんが落ちたときから呆けていたが、我を取り戻したように指示を出す。

「すぐにクロノ執務管となのはさんを救護室へっ! 急いでっ!」

 その指示で止まっていた時が動き出したように管制塔が慌しくなった。他の職員に指示を出すもの。今の指示が聞こえていたのか、スクリーンの向こう側では、訓練室に雪崩れ込むように入り込んでい来る数人の職員の人達。彼らによって担架のようなもので運ばれるなのはちゃんとクロノさん。彼らが運ばれる先は救護室とやらなのだろう。

 やがて、それらの作業を見守ったリンディさんは、改めて振り向き、僕たちと真正面に向き合う。その表情は、話し合いのときの柔和な笑みは消え去り、触れれば切れるような真剣な表情が浮かんでいた。それもそうだろう。明らかに先ほどのなのはちゃんは異様だ。時空管理局たちの人たちよりも長く一緒にいる僕でさえもそう思う。

 そして、その原因を
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