無印編
第十九話 裏 (アリサ、アルフ、クロノ、なのは)
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として今まで動けなかった翔太がソファーから立ち上がり、フェイトの傍へと近づき、画用紙を覗き込もうとしたのだが、翔太の目に入る前にフェイトは、画用紙をパタンと閉じてしまった。
「見せてくれてもいいのに」
「恥ずかしいからダメ」
不満げな顔をする翔太にフェイトはまるで画用紙を守るようにぎゅっと画用紙を抱き込む。自分には見られてもいいのだろうか、と思うのだが、それだけフェイトとの距離が近いと思っておくことにした。しかし、フェイトに画用紙が抱き込まれるととてもじゃないが、翔太は手を出すことはできない。
「どうしても?」
「どうしても」
頑なに拒否するフェイトを見ると翔太も無理にはいえないようだ。ふぅ、とため息を吐いて再びソファーにその身を沈みこませた。もしかしたら、もともとあまり興味がなかったのかもしれない。
「翔太〜、アリシア〜、お風呂に入っちゃいなさい」
「は〜い」
翔太の母親の要請に元気よく返事したのはフェイトだ。逆に翔太は嫌そうな顔をしている。フェイトと一緒に暮らすようになって、一緒にお風呂に入るように言われるたびに翔太はいつも嫌そうな顔をしている。お風呂が嫌いなのだろうか、と思ったこともあったが、聞いてみれば、なんでもフェイトと一緒にお風呂に入るのが嫌なようだ。兄妹が一緒にお風呂に入るのがどうして嫌なのだろうか? アルフにはいまいち理解できないことだった。
「ほら、お兄ちゃん、行こう」
ソファーに座ったままの翔太の手を引っ張って無理矢理立ち上がらせるフェイト。翔太もそれに逆らわない。いや、逆らっても無駄だと分かっているのだ。最初は、かなり逆らったが、フェイトが泣き出し、さらには翔太の母親に怒られて以来、翔太は半ば諦めの境地に立っているといっても過言ではないのではないだろうか。
いつもは、兄貴風を吹かせ、子どもに見えない翔太が唯一子どものように見えて、こみ上げてくる苦笑を先ほどの面白い笑みとは違って苦笑を隠せないアルフだった。
「それじゃ、あたしも一緒に入ろうかね」
魔法生命体とはいえ、お風呂にぐらいは入る。それにアルフはこれでもお風呂は好きなほうだ。もちろん、人間形態だ。そもそも、家庭のお風呂は、狼などが入るように作られていないため、狼姿で入るのはいささか無理があった。
「アルフも一緒にお風呂っ!」
「……勘弁してくれ」
アルフの主であるフェイトは大喜びだったが、なぜか翔太は、ガクリと肩を落としていた。なにか不都合があるのだろうか。確かに三人で入るにはいささか手狭だが、フェイトと翔太はまだ子どもなのだ。アルフが人間形態で入ったとしても余裕があるはずだ。
少し翔太が抵抗したが、結局、後でアルフが入るのもお湯がもったいないということで、三
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