無印編
第十九話
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ノさんの模擬戦も七回目なのだ。本当なら一回で終わるべきなのだろうが、なぜかなのはちゃんがまるで遊びをせがむ子どものように『後一回』と繰り返すため、クロノさんがそれに付き合うような形で延々と七回も続いてしまった。
本当にクロノさんには頭が上がらない。恭也さんや僕も何度か止めようといったのだが、なのはちゃんは聞かない。
―――「次は勝てるから」
なのはちゃんはそう繰り返す。確かに模擬戦の時間も長くなっているし、恐ろしいことになのはちゃんがこの短時間で段々と強くなっているのは間違いないのだろう。だが、それでもクロノさんは遠く及ばない。余裕は一切崩さないし、必死という風にも見えない。レベル百の魔王に立ち向かうのにレベル二十から二十五に強くなっても負けという結論が変わらないと同じだ。
おそらく、なのはちゃんは次も「次こそ」というだろう。だが、それもそろそろ限界だ。スクリーンの向こう側のなのはちゃんはまるで親の敵を見るような目でクロノさんを睨みながら、肩で息をしている。気力はあるが、体力と魔力が追いついていないのだ。六回目が終わった時点で殆どそれは分かっていた。だから、恭也さんと相談して七回目で終わらせると話していたのだ。
「なのはちゃん、もうクロノさんが強いことは分かったよね? ねえ、もうクロノさんに任せよう」
『……なんで? なんで、そんなこと言うの?』
僕の言葉に返ってきたのはなぜか疑問だった。なぜ、そんなことを言うのか。それは、ジュエルシードのようなロストロギアを集めるのが彼らの仕事で、僕たちの仕事ではないからだ。それに僕たちは子どもで、できるなら危険なことには首を突っ込むべきではない。だからこそ、僕は彼らに任せるべきだと思うのだ。
だが、僕がその答えを返すことはできなかった。なぜなら、空に浮かんでいたなのはちゃんが不意に糸が切れたマリオネットのように身体から力を抜き、地面に向かって落ち始めたからだ。
「なのはっ!!」「なのはちゃん!?」
僕と恭也さんはなのはちゃんを心配して同時に叫ぶ。だが、その心配も無用だったようだ。なのはちゃんの身体は地面に叩きつけられる前にクロノさんによってお姫様だっこのような形で受け止められたからだ。
ふぅ、と安堵の息を吐く僕と恭也さん。
「クロノくん。なのはがまた迷惑をかけたようで申し訳ない」
『いえ、こちらも久しぶりに歯ごたえのある訓練のようで助かりました。長期間の航行は勘が鈍りますからね。あと、どうやら彼女は、体力と魔力が尽きただけのようです。少し眠ればすぐに回復するでしょう』
七回も全力で模擬戦をすれば、いくら多いといわれるなのはちゃんの魔力もなくなるのだろうか。そして、そのなのはちゃんを相手にして少し息を切らせるだけのクロノさ
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