第五話
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ど、どうしてそう思ったんだ?」
「思ったとおりに操縦できなかったから……」
小さく落ち込んだ声で答える息子の声にポアーチは頭を殴られるたような衝撃を覚えつつ「へぇ……」としか答えられなかった。
「それにさっきのテストの時だってお父さん手加減してた」
今度は胸を貫かれるような痛みを覚えたが、なんとか「へ、へぇ〜……」と答える事が出来た。もうポアーチの精神力は1桁しか残っていない。
「わざと標的機を一箇所に集めてたりしてた」
もう何も言葉は出なかった。今晩は浴びるほど酒を飲んで独り枕を涙で濡らそうと誓う。
適正試験を終えて10日後。
正式採用はまだだが近い内に実戦テストを何度か行い、その結果を見て年少パイロット資格を申請するという約束をポアーチとしたエルシャンは自宅のソファの上にいた。
「えっとセシウムの放射の周波数はざっくり9.1GHzだけど、むしろ9.2GHzなんだよな……」
先日、光の速さを思い出す事に成功したエルシャンは、今度は1秒の長さを調べてフルント星の時間単位と比較する事を考えた。
原子の放射周波数は、測定位置の重力などの条件に左右されないので、地球で原子時計に使われ1秒の定義にも使われるセシウム133に注目した。
勿論、この星の元素周期表の55番がセシウムであることが前提だが、この星が地球とは別の宇宙に存在し、全く異なる物理法則に支配されていない限り、どんな名称で呼ばれようとセシウムに違いが無いと判断した。
また、セシウム133はセシウムの39はあるとされている同位体の中で、唯一の安定同位体で、唯一自然状態で存在するという特徴があるので、特定するのは難しくは無かった。
幸いな事に、セシウム133を使用した原子時計はフルント星でも、はるか昔に時間の基準として使われていたことがあり、フルント星の時間の最小単位であるシュルンは、セシウム133原子の基底状態の2つの超微細単位の間の遷移に対応する放射の3,309,348,536周期の継続時間と当時は定義されていた事が分かったので、後はセシウム133の放射周波数(1秒間の放射数)さえ思い出す事が出来れば、光の速度と合わせれば地球とフルント星の度量法を変換できるようになるのだった。
「自分で語呂を作ったはずなんだよ……女の人なのにカラスの行水みたいなイメージで、はやふろ(8826)……頭が88か近いけど違うな……でも語呂に英語使ってたはずだな。英単語+風呂(26)+女の名前……女はお嬢さん風で綺麗なロングの黒髪なのに何故か風呂が早いってキャラ付けで……白鳥麗子……いやいや全然数字に成らない。大体なんで白鳥麗子?……宮沢りえ……だから全然数字に成らないだろうが……あれ? 白鳥麗子、宮沢りえ……三井のリハウス!……そうだ三井(31)だ。そういう思い出し方だ
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