第五話
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功するんだ?」
ポアーチの疑問は当然だった。当然フルント人をはじめとする連盟軍においても一撃離脱戦法は存在するが、それはロックオン後に自動照準のサポートがあっての事で、固定レーザー砲のみですれ違い様に命中させるという話は聞いた事すら無かった。
格闘戦ならば、背後を取って追う事で標的機との相対速度は0に近づき、また標的機と自機のベクトルは同じ方向に向く。そこから標的機がどんな回避行動をとっても慣性法則からは逃れられず合成ベクトルの範囲は狭く限られる。
だが一撃離脱戦法ではその恩恵を受けることは出来ない。ならば答えは一つ。息子エルシャンは6歳にして他のパイロットがたどり着いた事の無い高みに達している。そう気付いた時、ポアーチの操縦する標的機は一条の閃光により貫かれていた。
「やった!」
爆散する最後の標的機の姿に、エルシャンは感極まりコックピットの中で両手でガッツポーズを取り叫び声を上げる。その様子は本当の6歳児のように無邪気であり、趣味に生きる漢という生き物は何時までも子供のままの自分を失う事は無いと雄弁に語っていた。
「やっちまた……」
同時にポアーチはコックピットの中で項垂れる。最早パイロットとして息子の先を歩き、父の偉大さを背中で語るという夢は潰えた。どう考えても背中を拝むのはポアーチでその関係が逆転する事は今後ありえない。
今後、どんな事があってもパイロットとして戦場に立つのは止めよう。特訓するのも止めておこう。エルシャンに俺がパイロットだった事を隠すのは無理だが自慢話は絶対にしないでおこう。俺はパイロットは引退したんだ。引退してから10年も経つんだから腕も鈍っても仕方ない。『ボルゾルイの雷光』? 何それバッカじゃないの? 俺は艦隊司令官なんだからパイロットとしての腕なんてどうでも良いんだよ。そんな言い訳を必死に考え今回の敗北による精神的ダメージからの回復を計った。
「素晴らしい。見事な腕前だエルシャン。父として君を誇りに思うよ」
通信を回復させると、『お父さんはパイロットして負けた事を全然気にしてないよ』という意味を込めて素直に賞賛した。
「えっ?」
だがエルシャンは、先程までは自分にはパイロット適性が無いのではと不安に思っていた位なので、父からの手ばなしの賞賛の言葉に何か裏があるのかと重い戸惑う。
「えっ?」
エルシャンが戸惑う理由が分からずポアーチも戸惑う。あれほどの技量を示した息子が、まさか自分のパイロット適性に不安を感じているとは考えた事すらなかった。
「えっと、僕の適正試験は合格で良いんだよね?」
その言葉にポアーチは唖然とする、次いで『お前が合格しないならパイロットなんてこの宇宙にいねえよ!』と声を出さずに叫ぶ。その後やっと息子が勘違いしている事に気付く。
「勿論合格だよ。だけ
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