第6話 死に顔動画【ニカイア】(2)
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
蜘蛛の巣に捕まった蝶の如く、男たちの中では少女は自分たちのものになったも同然だった。
「ふふっ、おじさん達が私を慰めてくれるの?」
しかし少女はその言葉を聞いても怯んだ色を見せない。額縁通りに言葉を受け取り、先ほどとは違う妖艶な笑みすら浮かべる。
???こいつ、本当はただのイカレ女か?
何人かが思う。
だが、関係ない、むしろ好都合だ。後腐れが無くて済むし、連れ帰ってこのままずっと楽しむことだってできるだろう。
ふと浮かんだ疑問を早々と解消した男たちが、遠慮は無用と少女に近づいて行く。だが
「けどぉ、私が慰めてもらいたいのはぁ」と少女の声が男たちの耳朶をたたく。
「あんたらみたいなむっさい男たちじゃ駄目なの」
瞳から少女のような光がスゥ…、と消え、妖しい光が灯された。
少女の前に立ち、その男を破滅に導く魔女のような光にさらされた幾人かの目から光が失せる。仲間の雰囲気が変わったことに残った男たちはうろたえる。
満足げにそれを見ながら、少女はゆっくりと携帯を男たちの前にかざした。そうして、男たちに向かって軽くウィンク。
「それじゃあ、私の代わりにみんなを楽しませてね♪」
それが、男たちにとっての地獄の幕開けだった。
目の前では、埃がさっきより激しく舞っている。
理由は明白、すずか達を囲んでいた男たちが忙しなく動き回っているから。
だが、埃みたいに男たちも軽々と宙を舞っているのは何なのか?
それを実現させている、あの異形たちは何だというのか!?
青白い肌の牛頭が、雄たけびを上げながら手に持った長柄斧で男たちを薙ぐ。長大な斧と、牛頭の巨躯から生み出されるその一撃は突風を巻き起こし、男たちの体が悲鳴と血しぶきが上げつつ吹き飛んでいく。
その先にあるのは、積み上げられたコンテナ。轟音と共に飛ばされたからだがめり込み、衝撃でコンテナが轟音を立て崩れていった。
「ブオォォォ!! ヤマに代わってぇ! お仕置きダァァァァァァ!」
コンテナを崩れたほうを見て、興奮したかのように叫ぶ牛頭。あたりを見回し、今の薙ぎ払いで敵がいなくなった事を悟ると別の方角へ走り出していった。
そしてまた起こる、血と男たちの乱舞。
鹿の頭に魚のような胴体を持った獣が、何人かの男を纏めて締め上げる。「げぇ」「きゅっ」と男性にしてはいやに甲高い、絞り出したような悲鳴が上がった。
そんな縛られた男たちを助け出そうと、何人かが一斉に獣に向かってナイフを突き立てる。が、その堅牢な鱗の前に刃がポキリと折れる。呆然とした表情で自分の手に残ったナイフの持ち手を見つめる。獣が首をひねり、それを小馬鹿にしたように見下す。
「仲間ガ大事カ? ソレナラ、返シテヤロウ!!」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ