第6話 死に顔動画【ニカイア】(2)
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「そうねぇ、どの道彼には知られちゃってるんだし」
彼が帰ってきたら、自分たちから“夜の一族”の事を打ち明けてみる。悪魔なんて従えてる彼だ、自分たちの事も容易に受け入れてくれるのではないだろうか?
「……ふふっ。何だか、面白くなってきたじゃない」
口角が押し上げられるように笑みが自然にこぼれ出てしまう。
ファリンが自分の様子が変わったことに驚いてるようだが、それが気にならないくらい、今の忍は自分の考えを実行することが待ち遠しくなっていた。
けど、
「まずは、すずかたちが無事に帰ってこないとね」
そう言って笑みを消し、真剣な顔で再び彼の飛び去って行った方向を見た。そうして、祈るように呟くのだった。
「すずかを頼んだわよ……、純吾君」
「あっれぇ〜、みんなこっち向いてどうしちゃったのぉ?」
突然現れた存在に始め戸惑っていた男たちが、場違いに明るい雰囲気をだす闖入者が少女???それも滅多にお目にかかれないほどの美少女だと悟ると、包囲をすずか達からその少女へと移した。
男たちは正直退屈していた。
彼らが依頼人から受けたのは小学生二人の誘拐。一人はそれを出汁にして身代金と会社の経営方針の変更を迫り、もう一人はどこかの研究所へ研究材料として高値で売り飛ばす、と聞いたが自分たちが直接やる事は小学生のガキの相手というケチな事だけ。
そんな所に、これから自分がどうなるか全く考えていな様な女が突然やってきたら、興味がそちらに向かないわけが無い。「こいつぁ楽しめそうだ」と、誰かが舌なめずりする。
少女は白いタートルネックの服装をへそから首下までチャックを開け、下も白いホットパンツという煽情的な恰好に伸びやかな肢体をつつんでいる。
興味深げにあたりを見回す純粋な少女のようにらんらんと光る眼や、この場では不自然にも感じるが、魅力的な笑みを浮かべた口元。
それを見た男たちの間から「ガキみてぇな奴だ」「あぁ、だが本当に今日はついてるぜ」と囁きが聞こえる。
何せ、目の前の彼女は周りに気をとられて、自身の優れた容姿や肢体が男たちの欲望の捌け口としていかに魅力的であるか、考えてもいないのだろうから。
「嬢ちゃん、こんなところに何しに来たんだい?もしかして、迷子にでもなったのかい?」
男の一人が酷く優しく、馬鹿にしたような口調で語りかける。
巻き起こる哄笑。完全に自分たちの優位を信じきった歪んだ笑い声が少女の耳に喧しく響く。
「いやぁ大変だなぁ、もう夕方で真っ暗になってきたし、淋しかったったんじゃないかぁ?」
「そりゃあいけない。お兄さんたちが慰めてやらねぇとなぁ」
そう言いながら、それぞれが獣欲にまみれの濁った視線を少女の顔に、胸に、腰に、体の隅々に向ける。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ