無印編
第十八話 裏 後 (アルフ、プレシア、なのは)
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ないか、と思う。たとえ、フェイトがフェイトではなくても、あの辛い記憶がなくなり、幸せならば、それでいいのでは、と。なぜなら、アルフが求めるのはフェイトの笑える幸せだけなのだから。
さて、今度は衣類を落とすことなく無事に洗濯物を部屋の中に入れてしまった後、何気なしに翔太の母親が口を開いた。
「この後、あなたたちの洋服を買いに行きましょうか」
「え? わ、悪いよ」
遠慮だった。ただでさえ、自分たちはお世話になっているのだ。しかも、フェイトがあんなことになって負担がかかっているはずなのにこれ以上迷惑はかけられなかった。フェイトの分はお願いしたいところだが、自分はバリアジャケットにもなっているタンクトップと短パンで十分だった。
「行くわよね」
「……はい」
翔太の母親の眼力に負けてしまった。そこには確かな意思があった。フェイトを見ていたような慈愛が篭ったものではない。明確な意思だ。
「そう、よかったわ。その格好だと、また変身してもらわないといけなかったから」
それは、昨夜、翔太の父親が自分の格好を見て、「け、獣耳のお姉さんっ!?」と叫んだことと何か関係があるのだろうか。その後、翔太の母親に耳をつねられていたが。昨夜は、それを見た翔太に何とかならないか? といわれて狼姿で寝た。
しかし、と先ほどとは違った感情でアルフは、家の中に戻ろうとする翔太の母親の背中を見る。その感情は怯えだった。
翔太は白い魔導師を従える。だが、翔太の母親は翔太でさえも従えるのだ。つまり、アルフの中のヒエラルキーは、翔太母>翔太>白い魔導師>フェイト>アルフだった。白い魔導師を従える翔太でさえ恐ろしかったのに、それを従える母親がいるとは。つくづく、地球は恐ろしいところだと実感するアルフだった。
◇ ◇ ◇
プレシア・テスタロッサの寝起きは最悪だった。
「また、あの夢……」
夢の残滓をふるい落とすかのように頭を振る。もはや見慣れた夢とはいえ、気分がいいものではなかった。むしろ、最悪だ。
あのときの夢とは、悪夢。あの実験機が暴走したときの記憶だ。その夢の中でプレシアはプレシアを責める。
どうして、あのとき会社に逆らってでも転移させなかったのか、と。
仕事などどうでもよかったはずだ。お金などどうでもよかったはずだ。だが、現実は、会社に従い、一番大切なものを失ってしまった。幸せだったはずの生活は一瞬で泡となって消え去ってしまった。あのときの感情は今でもプレシアの胸を締め付ける。
だからこそ、プレシアは前に進むしかない。もう一歩のところまできているのだ。後は、ジュエルシードを手に入れるだけでいい。それだけで、失った時間が戻ってくる。アリシアとの約束を果た
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