無印編
第十八話 裏 後 (アルフ、プレシア、なのは)
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況は硬直状態に入り、それを破ったのはやはり翔太だった。
「あの、このままじゃ、お互いに風邪ひいちゃいますから、一度僕の家に行きませんか?」
敵にも優しい言葉をかけられるのは、さすがショウくんと思うなのはだったが、もしかしたら、敵がその翔太の優しさに付け込んで牙をむくかと思い、やはり油断はしない。少し翔太が何かを話し、なのはの方を振り向く。どうやらなのはに翔太の意見に対する答えを聞きたいようだった。それに対してなのはが考える時間は必要なかった。なぜなら、答えは問いかけられる前から決まっているから。
「なのはちゃんは?」
「私はショウくんの言うことに従うよ」
当たり前だ。翔太は何時だって正しい。ならば、諦めてしまった自分が反対する理由はどこにもなかった。
その後、あれよあれよという間に話は進んでいき、気がつけば、黒い敵は、翔太の家に住むことになっていた。
―――え……あれ? なんで? なんで? なんで?
翔太が決めたことだから口は出せなかったが、なのはは黒い敵が翔太と一緒に住むことに納得がいかなかった。
あの時、魔法を使った戦いで勝ったのはなのはで、負けたのは黒い敵だ。だが、その黒い敵はなのはが欲しい翔太に一番近い場所を手に入れてしまった。
しかし、やはり昨日のお昼のようになのはが口を出せるはずもなく、またなのはの胸の中に水時計のように少しずつどす黒い何かが溜まっていくのだった。
黒い敵が翔太の家に住むようになった次の日。この日も休日で、朝から翔太と一緒にいられた。それは嬉しかったが、なのはが翔太と一緒の家に住んでいない以上、夜まで一緒にいられない。日が暮れればお互いの家に帰らなければならない。
夜、黒い敵が翔太を傷つけないか気になったなのはは、翔太の家にサーチャーを飛ばした。
そこで見た光景は、先日に引き続き、なのはにとって衝撃的だった。
黒い敵と一緒に夕飯を食べる翔太。食後にソファーでくつろぐ翔太と黒い敵。さらには、一緒にお風呂にまで入っている。もっとも、翔太は黒い敵の肌を見るのが恥ずかしいのか、背を向けていたが。
―――巫山戯るなっ!!
あまりの光景に絶句し、声を出せないなのはは、心の中で叫んでいた。
―――なぜ? なぜ? なぜ? なぜ?
魔法での勝者は自分だ。敗者は黒い敵だ。それにも関わらず、どうして黒い敵はなのはにとって欲しいものをすべて手に入れているっ!? 翔太とずっと一緒の生活。それを手中に収めているのだろう。また、滾々と湧き出る水のようにどす黒いものがなのはの胸の中に溜まっていった。
もはや、なのはの心の中に溜まったどす黒いものは、容量限界ギリギリだった。そのどす黒い何かの正体は、嫉妬とも羨望とも言えるもの。翔太の
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