無印編
第十八話 裏 後 (アルフ、プレシア、なのは)
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理してもマンションに戻るのが最善と思ったからだ。
だが、どうやらアルフは大雑把な転移魔法で最後の運を使い果たしたようだった。
―――どうして、あいつがここにいるんだいっ!?
常日頃、ジュエルシードを探しているなら考えられないわけではなかったが、しかし、いくらなんでもここで出会わなくてもいいだろうに、とアルフは己の不運を呪う。
アルフが力が入らない身体を動かしながら、街中を歩いている最中に出会ったのは、フェイトをボロボロに叩きのめしていた白い魔導師一行だった。彼らを視界に入れたとき、アルフの顔から血の気がうせた。あの白い魔導師のどこまでも吸い込みそうな黒い瞳を思い出したからだ。今度、また出会ったら今度こそやられる、と思っていたアルフから血の気が引くのは当たり前だろう。
―――逃げよう。
その結論に至るのに時間は必要なかった。すぐさま踵を返し、走り出そうとしたところで、背後から三つの気配。だが、それにも関わらず一目散に逃げることを選択する。もしも、万全だったなら十二分に逃げられただろうが、この身体では無事に逃げられるだろうか。
―――だけど、フェイトだけは絶対護る。
それが、アルフの使い魔として、いや、アルフとしての決意だった。
だが、想いだけでは現実を覆すことは難しかった。逃げ出した直後に少年の肩にいたフェレットが魔法を使ってきたからだ。拘束用の魔法であるチェーンバインドは、術者の腕前が高かったのか、精密な動きでアルフの足首に絡みついてきた。今のアルフに翡翠色のチェーンバインドから即座に離脱できる手段があるわけがなく、せいぜいできた反抗は、背負っていたフェイトを胸に抱きこむことだけだった。
次に起き上がってみれば、アルフは、囲まれていた。奇妙な形をした剣とフェイトを一日半眠らせた筒、そして最大の恐怖ともいえる白い魔導師のデバイスがアルフを狙っていた。完全な詰みといえる。だが、それでも、それでもフェイトだけは、とアルフは虚勢をはり、牙を見せ、唸る。
アルフに怯えたとは思えない。何せ、目の前にはフェイトを圧倒した魔導師がいるのだから。だから、なぜ襲ってこないのか分からなかった。しかし、だからといって逃げられるはずもなかった。
―――隙があれば逃げてやるのに……。
アルフはそう思うが、囲まれている人間を見ても、白い魔導師を見ても、その可能性はゼロに等しい。逃げられない。襲われない。恐怖と緊張感がアルフの心をじわじわと締め付けてくる。もしも、これが戦術というなら、考えたヤツは相当意地が悪いやつだ、とアルフは思った。
そんな恐怖と緊張感に包まれる空間の中を割るように前に出てきたのは、一人の少年。アルフの周りにいる人間とは違って一見無力そうな少年だった。顔にはこ
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