無印編
第十八話
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とジュエルシードを集めていたのは彼女たちの母親の命令だった。だが、その母親というのが酷い母親でいつもフェイトちゃんをいじめていた。アルフさんからしてみれば、そのことに相当憤っていたのか、母親―――プレシアさんを相当言葉で罵っていた。そして、ついさっき、プレシアさんに呼ばれ、時の庭園という拠点に行ったフェイトちゃんが、プレシアさんから相当酷いことを言われ―――この部分の詳細は分からないらしい―――捨てられるように時の庭園を追い出されたようだ。命からがら転移魔法で転移した場所は、海鳴のビルの上で、この地球で拠点にしている海鳴の隣の市へ帰る前に僕たちに見つかった。
「―――これで全部だよ」
全部を聞いた僕たちの反応はただの静寂だった。いや、正確には何を言っていいのか分からないという感じだ。アルフさんから聞いた話だから鵜呑みにするわけにはいかないということは分かっている。だが、フェイトちゃんの怪我を見れば、信憑性はかなりあるといっていいだろう。医療の知識があるノエルさん曰く、頬の腫れは明らかに打たれた跡だというのだから。
もし、彼女たちが純粋にジュエルシードを狙って悪事を働こうとする人達ならよかった。やっぱり、悪い人だったんだ、と納得できた。だが、現実は、虐待されながらも母親のために頑張る少女だった。彼女の母親であるプレシアさんが何を考えているか分からないのはおいていたとしてもだ。フェイトちゃんには襲われたという感情よりも同情心のほうが強いため罪悪感を感じてしまうのだ。襲ってきた当初は何も事情が分からなかったとしても。
「……ずいぶん、重い話を聞いちゃったわね」
人にはそれぞれ事情があるというが、これは重すぎた。さすがの忍さんもこれには気まずそうな顔をしていた。虐待という言葉はニュースではよく聞くが、目の当たりにすることは少ない。しかし、今、現実として目の前に落ちてきた。もしかしたら、忍さんは母親からということもあって女性として何か思うところがあるのかもしれない。
なのはちゃんは大丈夫だろうか? と思って隣に座っているなのはちゃんの様子を伺ってみたが、神妙な顔をしているが、意外と平気そうな顔だった。
「でも、あなたたちはもうそのプレシアさんのところには戻らないんでしょう?」
「当たり前だよっ!! あんなヤツのところになんて戻るもんかっ!!」
忍さんの言葉によほど心外だったのか、憤慨という言葉が似合うほどの形相をしてアルフさんは忍さんの言葉を否定した。忍さんはその答えが予想できていたのか、あるいは、自分が思ったとおりの返答を返してくれたからなのか、ニッと笑う。
「そう、それで、これからどうするつもりなの?」
「え? あたしは、フェイトと二人で暮らせればいいと思ってただけだけど……」
実
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