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リリカルってなんですか?
無印編
第十八話
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子が異なるのだろう。頻繁に恭也さんに問いかけるように目配せをしていた。だが、恭也さんも事情が分からないのだろう。困惑した様子で、何かを答えられるような雰囲気ではなかった。

 一触即発の雰囲気ではまったくないが、恭也さんたちは動きがないように囲み、獣耳の女性はこちらに手が出せないのか、威嚇するだけで動く様子はない。雨が降りしきる中、ただただ時間だけが無意味に過ぎていく。
 四月の下旬、後一週間程度でゴールデンウィークが始まろうか、という時期であっても、四月の雨は相当冷たい。このままでは全員風邪をひいてしまう。特に僕やなのはちゃん、そして女性の胸の中に抱かれている僕と同じぐらいの少女は子どもなのだ。風邪をひく確率は相当高いものとなるだろう。だから、そうならないためにもこの場を打開するために提案する。

「あの、このままじゃ、お互いに風邪ひいちゃいますから、一度僕の家に行きませんか?」

「だが、大丈夫なのか?」

 恭也さんはあまり僕の提案には賛成といえないようだった。もしかしたら、僕の家族を心配しているのかもしれない。彼女たちが暴れたならきっと僕や母さん、親父、秋人は抵抗できずにやられてしまうだろうから。恭也さんが強いといっても四人は無理なのだろう。だが、僕としてはこの様子を見て、彼女たちが暴れるとは考えられなかった。

「私は、できればショウくんの提案に賛成かな」

「確かに、このままの状態が好ましいものとは思いません」

 忍さんは賛成、ノエルさんは消極的賛成といったところだろうか。忍さんたちもたぶん、彼女たちが暴れた場合も考慮しているのだろう。だが、忍さんたちが持つ麻酔銃は確か彼女たちに効いたと聞いているから、それによる安心かもあるのかもしれない。

「なのはちゃんは?」

「私はショウくんの言うことに従うよ」

 間髪いれずに答えてくれたところ見ると、どうやらなのはちゃんは賛成らしい。前回の戦闘では、返り討ちにしてしまったなのはちゃんだ。彼女がこんなに自信満々だと心強いものがある。さて、多数決でいけば一度、僕の家に行くことは決定だが、やはり暴れられるかもしれないという心配があるのはあまりよろしい話ではない。

 だから、できれば彼女たちにも納得してほしかった。

「ねえ、お姉さん」

「……なんだい」

 渋々といった様子で口を開いてくれる獣耳の女性。一応は会話が成り立つことに安心した。口すら開いてくれなかったら誘うことすらできなかったのだから。

「僕たちについてきてくれませんか? あなたが抱いてる彼女も風邪ひいちゃいますよ? 僕の家なら温かいと思いますし、このままこう着状態が続くよりもずっといいと思います」

 僕の提案にしばらく考える。家というのは明らかにアウェーだ。そこに連れて
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