無印編
第十八話
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レイジングハートを起動するのも、ノエルさんと忍さんが銃を構えるのも仕方ないことなのだろう。何か様子がおかしいといいたかったが、戦えない僕が口を出せる問題ではないので、一歩引いて展開を見守ることにした。
獣耳が僕たちに気づいたのは、僕たちよりもワンテンポ遅れてからだった。俯いていた顔を上げたかと思うと、僕たちに気づいて、顔面を蒼白にする。まるで、恐ろしいものにでもであったかのように。そして、すぐに我を取り戻したかと思うと何かを決意したような表情をした。これを襲ってくる前兆と感じたのか、恭也さんたちは迎撃体制に入ったが、それは見当違いだった。
ちっ、と小さな舌打ちをすると獣耳の女性は、反転、後に駆け出した。
誰もが思っても見ない行動に呆気に取られたが、最初に動いたのは恭也さんだった。すぐさま彼女たちを追いかける。次がノエルさんと忍さん。同じく獣耳の女性を追いかける。幸いにして彼女の足はさほど早いとはいえない。ありえない速度をもつあの人たちが追いつくのは時間の問題だろう。
そう思っていたのだが、恭也さんたちが追いつくまでもなく決着がついてしまった。
「チェーンバインドっ!」
僕の肩に乗っているユーノくんからの魔法。僕も少しだけ教えてもらったバインドよりも強力な拘束魔法。それが発動し、地面から生えた翡翠色の魔力鎖が獣耳の女性の足に絡みついた。急に絡みついた鎖に獣耳の女性は対応できなかったのだろう。急につんのめったような体勢になり、背中の少女の体重が枷となったのか、そのまま倒れこんでしまった。
次に彼女が背負った少女を胸に抱くようして上半身だけ起き上がったときには、すでに恭也さんも忍さんもノエルさんも彼女を囲うように立っていた。ノエルさんと忍さんは銃のようなものを構えて、恭也さんは小太刀に手をかけて、そして、僕たちは少し離れたところからはのはちゃんがレイジングハートを構えていた。
彼女は寒さのせいか、あるいは敵対していた僕たちに囲まれたせいなのか、ガタガタと全身を震わせていた。だが、胸に抱いた金髪をツインテールにした少女を守るように胸に抱いて、目線と鋭い八重歯だけで虚勢とも取れる威嚇をしてくる。それが自分が傷ついても少女を守る母親のようで、見ているだけで胸が痛む光景だった。
しかしながら、傍目からみれば、この場合、悪人は僕たちではないだろうか。
震えながら少女を守るようにして抱きかかえる女性を銃と小太刀と魔法の杖で脅すように囲う僕たち。
ダメだ。完璧に悪役だった。これは止めないとまずいと思った。幸いにして似たような感想は恭也さんたちも抱いているらしい。あまりに違いすぎる、と。忍さんとノエルさんは話によると月村家でジュエルシードが発動したときにみているはずなのだが、やはりそのときとは様
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