無印編
第十八話
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ころである。だが、アリシアちゃんの母さんに甘えるときの安堵したような表情とアルフさんの憤慨を疑いたくはなかった。なにより、ジュエルシードを狙っているなら、僕たちの家よりもなのはちゃん宅を狙うだろうから。そういった考えもあって、僕もアリシアちゃんの受け入れに賛成した。
そんな経緯で、我が家に一人家族が増えました。
◇ ◇ ◇
奇妙な経緯で家族が増えた次の日の夜。なぜか、僕は自分の部屋ではなく、母さんと親父の部屋で久しぶりに川の字になって寝ていた。いや、川というには縦線が多いが。なぜなら、親父、僕、アリシアちゃん、母さんの順なのだから。もっとも、親父はまだいないから川であっているのかもしれない。秋人は少し離れたベビーベットの中で寝ている。
ここで、僕が寝ている経緯は簡単だ。アリシアちゃんがねだってきたからだ。お兄ちゃんというのも大変だ。なぜ、僕がお兄ちゃんなのかというとフェイトちゃんが起きた後の母さんの説明に起因する。
フェイトちゃん―――アリシアちゃんが起きたのは、恭也さんたちが帰ってから数時間後だった。最初は、母さんにだけ甘えていたが、僕に気づくと母さんの影に隠れて怯えるように「誰?」と問うてきた。そこで、母さんはなぜか僕を兄と説明。結果、アリシアちゃんからの僕への呼称は「お兄ちゃん」になってしまった。そのときに、「私は、妹がほしかったけど、お兄ちゃんでも嬉しい」と言っていたが、どういうことだろうか? ちなみに、妹はいないが弟はいるということで秋人を見せると意外と大喜びだった。
さて、そのアリシアちゃんだが、家族が嬉しいのか、虐待の記憶しかない反動か、特に母さんか僕に甘えてきた。母さんのほうが優先度が高いが。今日もまさか一緒にお風呂に入ったりする羽目になろうとは思いもよらなかった。しかも、こうして一緒に寝ることになろうとは。傍から見れば可愛い妹なのかもしれないが。
しかし、アリシアちゃんにはやはり不安定な部分がある。ちょっとした失敗。例えば、今日の朝食のときにお手伝いでお皿を運んでいたとき、まだ体力が回復していないか、よろけて誤ってお皿を割ってしまった後、慌てて素手でお皿の破片を拾おうとした。しかも、そのときの目は虚ろで、色をなくしており、怯えたように「ごめんなさい、ごめんなさい」と呟きながら。
さらに、奇妙なことにアリシアちゃんは右利きなのに左利きのように振舞うことだ。まるで、記憶と体の整合性が取れないように奇妙な感覚を覚えたように左手を振っていた。特に僕たちを見て使おうとしていたお箸は、彼女が右利きで、左手で使うことは困難なのに左手で使うことに固執していた。
あと、アルフさんは、アリシアちゃんを心配そうに世話を焼きながらも、どこか様子が違うアリシアちゃんに戸惑っ
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