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リリカルってなんですか?
無印編
第十八話
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 すずかちゃんの―――というよりも、月村家が実は吸血鬼の家系だということを知ってから二日が経過していた。その間に何も変わらなかった、とはとてもじゃないが言えなかった。

 まず、秘密を知った次の日、朝一番にすずかちゃんが血を吸ったことについて謝ってきた。さすがにこれは教室などで簡単にできる話ではないから、朝から誰も来ないような校舎裏に連れて行かれてだが。そのとき、一緒に登校していたアリサちゃんが訝しげな表情をしていたので、着いてこないものか、とひやひやしたが、すずかちゃんが内緒のお話と釘刺したおかげか、ついてくる様子はなかった。すずかちゃんの謝罪に関しては、既にさくらさんから謝罪も貰っているので、当然のように受け入れたのだが、そのときの心底安堵したような表情は、もし許してもらわなかったらどうしようという不安が相当のものだったことが伺えた。

 そして、後は普通の一日―――とは、問屋がおろさなかった。なぜか、すずかちゃんからのスキンシップが増えた。そのことに気がついたのは、昼食の時間。彼女が昼食を誘ってくるのは僕の記憶が正しければ、初めてだったはずだ。さらに、昼食のときも僕の隣に座り、できるだけ体を近づけてきた。僕としては気恥ずかしかったのだが、結局、すずかちゃんが離れることを許してくれなかった。これだけならまだしも、お弁当の中身を交換だとか、食べさせあいとか提案してきたが、さすがに後者は拒否した。僕たちを見るアリサちゃんの冷たい目が痛かった。

 しかしながら、急にこんな行動を取るすずかちゃんは一体どうしたのだろうか? とふと午後の授業中に考えてみた。そもそも、僕とすずかちゃんのパーソナルスペース―――他人との距離で不快な感情を抱かない距離であり、親しいほど近い―――は、友人程度の距離だったはずだ。それが、もはや定義だけで言うなら家族に近い距離まで許している。さて、原因はなんだろうか? と考えてみたが、どう考えても原因は一つしか考えられない。そう、昨日のことである。

 吸血鬼という迫害されるのに十二分すぎる理由を僕は自分の魔法と出自のこともあり、簡単に受け入れてしまった。それだけの器が出来上がっていた。僕からしてみれば、すずかちゃんのことを受け入れるのは、呼吸をするように至極当然のことだった。それを拒絶する理由とも考えていなかった。しかしながら、相手からしてみれば、おそらく予想外だったのだろう。あのときに見せた不安そうな顔とさくらさんたちの小学生に対しての圧力等―――ただし、僕のはジュエルシードの件も考えれば、特別だと思う―――を考えれば、彼女たちの秘密がどれだけ重大なものか分かろうというもの。

 つまり、すずかちゃんにとって僕は、いじめられっこに救いの手を差し出した友人ということだろうか。なるほど、その立ち位置なら、すず
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