無印編
第十八話 裏 前 (アルフ、フェイト、プレシア)
[10/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
でもいいかな。
母親に人形と、無駄と、ゴミといわれ、フェイトは自暴自棄になっていた。もはや母親に認められることはなく、生きる意味もない。だから、捨てるという言葉を聞いても抵抗することもなかった。このまま、安らかに眠れればいい。
そう思い、フェイトは目を閉じるのだった。
◇ ◇ ◇
アルフは、突如流れ込んできた絶望と悲しみに涙を流すことで耐えながら必死に時の庭園を走っていた。
フェイトとアルフは確かに主従の関係で、精神リンクで繋がっており、感情を共有することもある。だが、それは少しの話で、微々たる物だ。だから、涙が流れるほどに大量の感情が流れてくるということは、よほど大きな絶望と悲しみをフェイトが感じていることが分かる。
だから、アルフは主のフェイトを探していた。
感情が流れてきた瞬間、フェイトが入るはずの部屋に殴りこんだアルフだが、そこにフェイトの姿なかった。仕方なく、精神リンクでフェイトの魔力を追って、走っているところだ。
そして、たどり着いたのは、いつもはフェイトと共に入ることを禁じられた部屋。そこには確かにフェイトとアルフが気に喰わないプレシアの気配を感じた。
―――きっと、あの婆がフェイトに酷いこといったんだ。
そう決め付け、突入しようとしたアルフの優秀な聴覚が聞き取ったのはプレシアの声だった。
「ゴミが。ここは、アリシアが眠る場所よ。汚れるでしょうが」
その言葉を聞いた瞬間、アルフの中で堪忍袋が盛大に破れた。もはやフェイトの気持ちも何もかも気にせず、ただただプレシアのいけ好かない顔を殴ることだけを決意し、部屋に殴りこむ。
「この糞ババアァァァァァっ!!!」
アルフにとって渾身の一撃だったはずだ。だが、それをプレシアは―――過去に大魔導師と呼ばれた魔導師は、いとも容易くシールドで受け止めてしまった。バリアブレイクの性質を持っているアルフの拳をだ。
だが、それでもアルフには言いたいことを言えるのは変わりない。
「どうしてだよっ!! フェイトは頑張ってきたじゃんかっ! どうして、あんたはそんなフェイトをゴミなんて言うんだよっ!!!」
心からの叫びだった。母さん、母さんとフェイトが頑張っているのを知っている。だからこそ、きつく当たられているフェイトが不憫で仕方なかった。認めてやらないプレシアが嫌いだった。そして、ゴミ扱いするプレシアに殺意すら覚えていた。
だが、その言葉にプレシアが動揺することもなく、ただ、はぁ、と億劫そうにため息をはくだけだった。
「ゴミの使い魔はゴミということね。頑張ってきました、褒めてください? 結果が伴わない努力に意味はないわ。ただそれだけよ。ゴミはゴミらしく消えなさい」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ