無印編
第十七話
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げてくれた。
すずかちゃんの吸血事件のことをさしているのだろうが、今の会談の中で驚くことや明らかになったことが多すぎて半ば忘れていたが、ここにきたのはそれが始まりだった。
気にしてないといえば嘘になる。最初はそれなりに驚いたわけだし。だが、こうやって僕よりも大人の人に頭を下げられては何も言えない。そもそも、何かいうつもりもなかったが。
「はい、確かに受け取りました」
「よかったわ。すずかには後から私がちゃんと言っておくから」
「そうしてください。もう一度同じことがあったら辛いですからね」
血を吸われること自体に忌避感はないのだが、この貧血の状態というのはちょっと辛い。今は、かなり回復したが、最初は歩くこともままならなかったのだから。
「あなたにはお詫びの品を送るからよかったら受け取ってちょうだい」
どうやら、お詫びの品までくれるらしい。拒否してもよかったのだが、お詫びの品を拒否するのは謝罪を拒否している風にも取れるから、無下に断わるわけにはいかない。だから、僕は「楽しみにしておきます」と言うしかなかった。もっとも、下心ありで言うなら、彼女たちのような人たちからもらえるお詫びの品はそれなりに楽しみだった。
◇ ◇ ◇
コンコンコンと僕は目の前の部屋のドアをノックする。だが、応えは返ってこなかった。部屋の中の主はすずかちゃんだ。どうやら帰ってきてから、忍さんたちに一通り事情を話したあと、部屋に閉じこもっているらしい。僕は、すずかちゃんのことが気になっていたので、帰る前に許可を貰ってすずかちゃんの部屋の前に立っていた。
「すずかちゃん、翔太だけど……聞いてる?」
応えはなかった。だが、おそらく彼女は部屋の中にいるのだろう。だから、僕は答えが返ってこないのも気にせず、言葉を続けた。
「話は忍さんから聞いたよ。少し驚いたけど、僕はすずかちゃんを拒絶しないから。今日のことも気にしないで……っていうのも無理だろうから、僕は献血したぐらいに思っておくよ。すずかちゃんも輸血されたぐらいに思ってくれていいから」
あの記憶はなかったことにはできない。ならば、せめて軽い気持ちになれるように思っていたほうが気が楽だろう。
「今日はもう遅いから帰るけど、また明日学校で。今は少し忙しいから無理だけど、もう少ししたら片付くと思うから、そのときは今までのお詫びとかもあわせてお茶会とかやりたいね。お勧めの本とかも読みたいし」
最近は読書の数も減ってしまった。ジュエルシードの捜索に加えて、魔法の練習に時間を割かれるからだ。時空管理局が来れば、もう少し読書の時間も増やせるだろう。そのときは、ここ一ヶ月ぐらいで新しくできたであろうすずかちゃんの本を読むのもいいのかもしれ
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