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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
『砂漠の嵐』
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りましたが、私が洩らさない限り未確定情報で赤道連合を責める訳には行かない。

 私は意を決して顔を母さんに向けた。

「わかりました」

「悪いわね。無理難題ばっかり言って」

 瞬間、母さんの顔が……開発局長から母親の顔になった。子供に迷惑をかけていて、それを後悔する……それでいて助けられない自分を責めているような、そんな顔。
 そんな母さんに向けて私は作り笑いでも目一杯笑って見せた。

「ううん、これが私の出来る唯一の恩返しだもん。ね、母さん」

「くすっ、そうね。カルラが頑張ってるのを見るのは母さんも嬉しいわ。でも……」

「あ……」

 不意に……抱きしめられた。いきなりすぎてよく分からなかったけど、徐々に母さんの体の温度が伝わってくる。

 暖かい……久しぶりだな、この感覚。

「無茶はしてもいいけど……無理はしないで……ううん。本当はどっちもしないで欲しい」

「母さん」

「あの福音の時だって泣きそうだったんだから……親より先に死ぬなんて親不孝なことは許さないわよ」

 そう言うと母さんは私の身体を離すと軽く拳を作って少しだけ強く私の頭に拳骨を落とす。

「う、うん。ごめんなさい」

「うむ、分かればよろしい」

 私の言葉に満足したのか、母さんは何度か頷いた後、再び開発局長の顔に戻った。それを見て私も慌てて姿勢を正す。こういう時の母さんは私が一番知っている。対応も、内心も。だからこそ私はこの、母さんの仕事の顔に付き合い少尉と言う身分に戻る。それがケジメというものですから。

「では、現時刻を持って『デザート・ストーム』は正式にカルラ・カスト少尉の専用機と認定。以降の扱いは貴方に一任します」

「はい! 『デザート・ストーム』、確かに受領します!」

 私はそう言った後に、母さんに促されて展開されている『デザート・ストーム』に触れる。その瞬間に『デザート・ストーム』は光に包まれ、待機状態に……金色に光る指輪になり私の手に収まった。
 それを鎖に通して再び首に掛ける。一週間、何か私の中から抜け落ちていたものがすっぽりと収まるような感覚……どうやらこのISはもう私の一部になっているみたいだ。

「また、よろしくね」

 私が撫でるように指輪に触ると、それに答えるかのように指輪が一瞬だけ光ったような気がした。

 今度は気のせいじゃないと思うな、うん。
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