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リリカルってなんですか?
無印編
第十六話 裏 (なのは、フェイト、忍)
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ようだから逃げれば追ってくると踏んでいたのだが、正解だったようだ。

 しばらく飛んだ後、海鳴の中心街の中でも無数の高層ビルが立ち並ぶ中心街の中心でなのはは足を止め、振り返り、件の魔導師と相対した。黒い外套とツインテールの金髪を靡かせ、なのはから十メートル程度はなれたところで止まる少女。
 彼女の金髪が、先日の休日に初めて顔を合わせ、翔太の親友と勘違いしている少女を髣髴させる。件の魔導師というだけで嫌な感情が胸を締め付けるのに、さらに神経を逆なでするようだ。

「ジュエルシードを渡してください」

 すぅ、と威嚇のように死神の鎌のような形をしている戦斧を向けられる。だが、なのははそれに怯むことはなかった。これから戦う相手に怯むことは負けを意味することを本能とも言うべき部分で理解していたからだ。

「ねえ、なんで私がショウくんの傍から離れたと思う?」

 なのはの言葉が聞こえたのか、怪訝そうな顔をする少女。だが、もともとなのはは相手に答えを期待していない。この場に逃げて、いや、おびき出した理由を伝えるためだけだ。

「ショウくん、暴力嫌いなんだ。だから、あなたと戦ってるところ見られるの嫌だし」

 翔太は、元来から優しい性格をしている。そうでもなければ、殴った相手を話し合いだけで許して、一緒に遊ぶなんてことはできない。本来、関係ないことを手伝うなんてことはできない。なのはに毎日付き合ってくれるなんてことができるはずもない。

 何が言いたいんだ? とばかりにそれを尋ねようと口を開く黒い少女を遮ってなのは、それに―――と続ける。

「あなたの目的なんてどうでもいい」

 なぜなら、彼女にいかなる理由があろうとも、同情も、同調も、反発もしないからだ。

「あなたの名前なんてどうだっていい」

 なぜなら、これから打ち負かし、もう二度と顔を合わせることもない少女の名前を知ったところで時間の無駄だからだ。

「あなたの力なんてどうでもいい」

 なぜなら、少女が如何様な力を持っていようとも、なのはが叩き伏せることは絶対だからだ。

 なのはが少女に対する意気込みは、負けない、という決意ではない。負けたくない、という願望でもない。負けてはいけない、という禁忌だ。

 なのはにとって黒い少女は、もしかしたら、自分の居場所を奪うかもしれない魔導師であり、ジュエルシードを持っているであろう魔導師であり、そして、何よりも翔太を傷つけた魔導師なのだ。
 どれをとってもなのはにとっては負けられない理由だった。だからこそ、これから始まるであろう魔法戦闘の中で少女に対する感情は、負けてはいけないという禁忌なのだ。

 すなわち、なのはにとって―――

「あなたは私の敵だ」

 すぅ、と黒い少女と同じようにな
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