無印編
第十六話
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拾わないというのは変な話だ。だから、落ちているのは、ビル郡の道路の真ん中ではなく、路地裏に近い場所だろうという推測を立てて捜索している。
近くにあることが分かっているのにぞろぞろと群れて探す必要はない。ある程度の距離をとりながら、今はユーノくん、僕と恭也さん、なのはちゃんというチームで三手に分かれていた。お互い、あまり離れず、すぐにいけるような距離で探している。
ユーノくんが反応を見つけてから一時間近く探している。だが、中々見つからない。見つからなければ、誰も拾ってないさ、と高をくくっているものだが、反応があるとすぐに誰かに拾われてしまわないか、と不安になってしまう。だから、僕と恭也さんは黙々とジュエルシードを探していた。
そして、路地裏に入ること十数本目、なんとなく違和感を感じて覗き込んだポリバケツの裏に僕は目的のものを見つけた。ポリバケツの影に落ちていたそれは路地裏の隙間から入ってくるビルの光を蒼く反射していた。
「恭也さん、見つけました」
近くで僕と同じようにジュエルシードを探していた恭也さんを呼ぶ。恭也さんは僕の声を聞いてすぐに飛んできた。
「どれだ?」
「これです」
僕は、近くに落ちているジュエルシードを指差した。すぐ近くにジュエルシードが落ちているのに拾い上げないのは、僕の願いにジュエルシードが反応してしまうことを防ぐためだ。すぐに触れてどうにかなるというわけではないだろうが、万が一僕が思ったことを願いと受け取ってしまうことが怖い。僕の目の前にある宝石は、その淡く輝く蒼とは異なり、触れれば爆発する不発弾のような危険性を孕んでいた。
―――なのはちゃん、ユーノくん、ジュエルシードを見つけたよ―――
恭也さんを呼んだ僕は、すぐに念話でなのはちゃんとユーノくんに知らせる。早くこいつをなのはちゃんに封印してもらわなければならない。なのはちゃんもユーノくんもすぐにこちらに来るようだ。
ようやくジュエルシードが見つけられて一安心といったところだが、見つけたからといって簡単に気を抜くわけにはいかなかった。先日の月村邸でのことがあるからだ。僕たちが知らない魔導師がどうやら地球にいるからだ。今回は僕たちが早かったが、もしかしたら、次の瞬間にも目の前にあるジュエルシードを狙ってくるかもしれない。
もっとも、魔導師が本気で僕たちを狙ってきたら勝つことは無理なのだが。
確かに恭也さんは強いかもしれない。だが、それは地球人相手だ。恭也さんの師匠である士郎さん曰く、銃ぐらいならなんとかなるが―――この時点でなにか色々おかしいような気がする―――魔導師に空を飛ばれたらおしまいらしい。何より魔法という物理的なもの以外だと歯が立つかどうか分からないし、そもそも刀が通るかどうかも分から
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