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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆ユイ――MHCP001
第三十七話 シンカー救出作戦
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うだ。それならHPゲージがないことにも納得がいく」
「じゃ、本当にこの子は運営側の子だってこと……?」
「その可能性は高まったな。でもやっぱりこの年齢で、更にこの言語障害は一体なんなんだ……?」
 ミズキはクイックチェンジで手際よく記録結晶を取り出すと、《生命の碑》のユイの名前があるはずのあたりを写真に撮り、例の分厚い本に転写した。ホロキーボードを出すと、コメントを追加して書き込む。

 マルバたちがそんなことをやっている間に、コーバッツの元部下たちが突然歓声を上げた。驚いて振り返ると、そこにはコーバッツと見知らぬ男性が立っていた。ユリエールが急いでその男性に駆け寄る。その男性こそが、コーバッツたちが命がけで救出したシンカーであった。
 シリカが急いでコーバッツに尋ねた。
「コーバッツさん、大丈夫だったんですか!?」
「ああ、なんとかな。さすがにあれは死ぬかと思ったが」
「何があったんです?」

 コーバッツはシンカー救出の最中であった出来事について話し始めた。それは、本当に危険な出来事であった。




 コーバッツはユリエールの道案内の元、シンカーのいるダンジョンの探索をしていた。コーバッツ部隊は次々現れるゴースト系モンスターをどんどん斬り飛ばしながらシンカーのいるはずの安全地帯に向かって進み、ついにその安全地帯が見えた、その時のことだった。
 安全地帯からシンカーが顔を出した。驚愕と恐怖の表情で彼らを見ている。
「シンカー!!」
 ユリエールは思わずかけ出していた。シンカーはそれを見ると、その顔に更なる恐怖の表情を貼り付け、喉も枯れよとばかりに叫んだ。
「ユリエールッ! 来ちゃダメだッ!! その通路には……ッ!!!」
 コーバッツはその言葉にぎょっとして立ち尽くした。即座に補佐役のガイズが報告する。
「隊長! 二時方向に識別不能の定冠詞付きのモンスターが一体!」
「なんだってッ!? くそ、ユリエールが危険だ!! バレル!」
「はい!」
「ユリエールに麻痺を打て! あいつを止めるんだ!」
 ユリエールが十字路の三歩手前で崩れ落ちた。バレルが放った麻痺専用のピックがユリエールの脚に命中したのだ。ユリエールはダメージを受けずに麻痺にかかり、何が起こったのか分からずに倒れたまま、前方のシンカーを見つめた。
 と、その瞬間。ボスモンスターがユリエールの目前をごうっという音と共に通り過ぎた。
 コーバッツたちが慌ててユリエールに走り寄るのと、ボスがコーバッツたちに向き直るのはほぼ同時だった。コーバッツたちはユリエールの麻痺を回復させると、元来た方角にじりじりと後退する。

「これはまずいな。ガイズ、あいつは何層クラスのボスだ?」
「識別不能です。私のレベルより上、つまり少なくとも八十五層クラスです」

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