人間交差点
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ました」
それだけ言うとお二人は去っていきました。あの人が生徒会長か……何ていうかすごい人でしたね。
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「会長、よろしかったのですか?」
「んー?」
IS学園1年生用寮内の廊下を楯無と虚が歩きながら言葉を交わす。
「いいのよ。多分嘘ついてないし、それに音声録音してるでしょ?」
「ええ、それはしておきましたが」
「それでいいの。後は轡木さんに報告して今日のお仕事は終了」
寮から出て2人は遊歩道に出て目的の人物の下に向かう。しばらく歩きながら辺りを散策していると一人の用務員が雑草を取っているところだった。
楯無はその用務員に近づくと友達のように声をかける。
「こんにちは、轡木さん」
「おお、会長さんか。どうじゃ調子は」
その用務員はそう言いながら手を止めて立ち上がって首からかけているタオルで汗を拭う。麦わら帽子の下の白髪が目立つが、温和な顔立ちの壮年の男性。轡木 十蔵が彼の名前である。誰にでも優しく人当たりのいい彼は厳しい先生が多いこの学園内で生徒たちから「学園の良心」と呼ばれて親しまれている。
「頼まれたこと聞いてきたわよ。虚ちゃん」
「はい、こちらが音声データです」
「うむ、確かに。悪かったの、こんなお使いさせてしまって」
虚が楯無に促されて懐からボイスレコーダーを取り出し十蔵に手渡した。
「奥さんへはしっかり渡しておいてくださいね?」
「む? はは、こりゃ失礼。しっかり渡しておくよ」
「では失礼します」
IS学園は他国の干渉を許さないがそれを運営する人物は必要である。所謂理事長的な立場にいるのはこの十蔵の奥さんである。そのため生徒会から忙しい理事長に直接会えないときはこうやって旦那の十蔵の方に連絡を付けてもらうというのが一般的……と一般生徒から見れば思える。
だが実際はこの十蔵こそがIS学園の実務関係全般を取り仕切っている人物なのである。用務員という立場は学園生徒からの裏表のない声を聞くに最適な立場であり、学園の改善点や不審な点がないかどうかを探るのには絶好の隠れ蓑なのである。
「ああ、そうそう。会長さんに連絡が来てるぞ」
「へ?」
十蔵の言葉に楯無が不安そうな声を上げた。何か嫌な予感がしたのだろう。頬には滅多に見ることのできない冷や汗が見える。
「もしかして……あの人?」
「うむ、もしかしなくてもあの人だ。返信を待つと言っていたぞ」
「…………」
「会長? あの人とはもしかして」
「虚ちゃん……私にその名前を口に出させないで……」
「ああ、やはりロシアの
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