無印編
第十五話 裏 後 (アリサ、恭也、すずか、忍)
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かショウくんがね」
今回、訪ねてきたのは、翔太、恭也、彼の妹の三人である。忍は、恭也が御神流の剣士として裏の世界に関わりを持っていることを知っている。すずかの話とこの宝石を結びつけたときに最初に候補に挙がるのは、裏の世界とも関わりがある恭也だろう。だが、そう考えると問題がいくつか出てくる。
まず、翔太と彼の妹の存在だ。恭也だけが関わっているだけなら、彼らを連れて行く必要はない。むしろ、忍が見たような人狼族と戦うなら、子どもは足手まといである。
次に、御神流という剣術のあり方だ。彼らの信念は『人を護る剣』である。爆弾テロより前は、『不破流』という御神流の裏に位置づけられる流派があったらしいが、こちらは恭也が継いでいる御神流とは異なり壊滅している。その御神流の信念である『人を護る剣』が、果たして自ら動くだろうか。
以上の二つの理由を鑑みるに、むしろ注目すべきは、恭也よりも翔太だ。翔太がこの蒼い宝石をターゲットにしていて、その護衛に恭也を雇ったというほうが筋が通っている。彼の妹が付随しているのは、彼女にも御神流を伝えるためだろうか。
だが、しかしながら、それでも尚、疑問が残る。月村という名前は裏からこの土地を支配する一族だ。当然、住人もある程度は把握している。それは、月村の危機になる人間という意味だが。だが、その名前の中に『蔵元』なんて名前はなかった。忍の勘からしても翔太は、ただの人間だ。
だが、襲撃者の直後に恭也を護衛にした翔太の来訪。それがすごく気にかかる。忍の勘が何かがあると告げていた。だから、月村家、夜の一族としての役目を果たすため、忍はノエルを呼び命令する。
「ノエル、蔵元翔太について徹底的に調べて」
ノエルは忍の命令に頭を下げることで応える。
さて、と忍は笑った。これで、翔太がもしも裏の人間との何らかの関わりがあれば、面白いことになる、と。
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