無印編
第十五話 裏 後 (アリサ、恭也、すずか、忍)
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。普通の人は、距離をとってきた自分がである。
確かに彼には他の人とは異なる空気を持っているといい。だが、それだけだ。個性というだけで特異性は持っていない普通の一般人のように思える。だが、それでもすずかは友人を続けている。
―――どうしてだろう?
その問いに対する答えはなかった。だから、翔太のことをもっと知りたいと思った。自分が友人を続けられる理由、あの不思議な雰囲気の理由、幽霊に対して信じている割には恐怖心を抱いていない理由。翔太に対するいろんなことを知りたいと思った。
そして、すずかは、彼に自分のことを知ってほしいと思った。同時に、その事実を受け入れて欲しいとも。
過去に抱いた感情。受け入れてくれるかも、という憶測から、受け入れて欲しい、という希望に無意識に変わったことについぞすずかは気づかなかった。
さて、お風呂を上がったすずかは、廊下を歩きながら、今日一日を反芻していた。姉の話によると襲撃者は撃退できたようだし、洋服は褒めてもらえたし、高町なのはという乱入者がいたが、激動の一日に比べれば些細な一点だ。
もっとも、アリサとなのはがにらみ合っている間、翔太が助けを求めるように視線を送ってきたが、すずかはそれを微笑で返した。アリサとなのはに挟まれて右往左往している彼に対してなにやらもやもやしたものを抱いたからだ。それが何かなんてすずかは分からない。だが、素直に手を差し出そうとは思わなかった。ショウくんなんて困っていればいいんだ、と思った。
きっと、それはお茶会を断わって、高町なのはと楽しそうに休日を過ごしていたことに対する意趣返しだ。
すずかは、そう結論付けて、自分の部屋に戻ろうとしていた。だが、その途中、リビングで天井の電球に対して光を透かすようにして片手に何かを持っている姉を見つける。それは、廊下を歩いていたすずかに鈍い蒼い光を運んでいた。
その瞬間、すずかの中である記憶が再生される。
―――確か、ショウくんが探してるのは……。
「お姉ちゃん、それどうしたの?」
◇ ◇ ◇
月村忍は、八方塞がりになった事態にため息を吐いた。
襲撃者が人狼族のように獣耳を生やしていたことは、彼女の叔母であるさくらに連絡した。だが、さくらからの情報によると人狼族に心当たりはないようだった。
だが、忍が見た獣耳と尻尾は間違いがないため、さくらは調べてくれることを約束してくれた。そもそも、日本に住む人狼族は数が少ない。もしも、当たりがあれば、すぐに調べがつくはずだ。だが、厄介なのは、その人狼族が『はぐれ』だった場合。その場合、その人狼族は危険人物として群れを追放されたものである。群れで動いていない以上、はぐれである可能性が高いこともさく
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