無印編
第十五話 裏 後 (アリサ、恭也、すずか、忍)
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ラを見たときは何ともいえない感情に襲われたものだ。そう、いうなれば、娘に彼氏ができたときの感情というか、複雑な想いだ。恭也が特になのはを気に掛けているせいかもしれないが。
「でも、なのはたちはまだ小学生だよ。中学生とかになれば、話は別だろうけど、聖祥大付属は男女別だから、あんまり気にしなくても良いんじゃない?」
「そう……だな」
確かに小学生の頃はあまり男女の境はないということを聞いたことはある。自分が小学生のときはどうだっただろうか、と思い返そうとしたが、そのころは父親と一緒に修行をしている光景しか思い出せなかった。
自分のことは考えないようにして、今はなのはのことを考えることにした。そう、そうだ。なのははまだ小学生なのだ。まるで彼氏ができたときのような感情を抱くことは間違っている。恭也たちからしてみれば、男の子と女の子ということで気になるのかもしれないが、なのはたちは気にしていないのだろうから。
そう、そうだ。だから、気にしないことにしよう。翔太が男の子でもなのはにとって最初の友人なのだから。
ようやく自分を納得させた恭也だったが、まるでそれを見計らったかのように美由希が思い出したような口調で口を開く。
「あ、でも、『男と女の間に友情はあり得ない。情熱、敵意、崇拝、恋愛はある。しかし友情はない』って言うね」
「―――っ!?」
俺はどうしたらいいんだ? とばかりに苦悩する恭也を見ながら美由希は意地が悪そうに笑うのだった。
◇ ◇ ◇
月村すずかは、お風呂の中でご機嫌だった。
理由はいうまでもない。翔太に見せるために買った黒いワンピースを翔太が褒めてくれたからだ。
今までは、黒は穢れを意味しているようで、自分の身体を揶揄してるようで、あまり気に入らなかったのだが、翔太が褒めてくれたおかげで、これからは暗色系統の洋服も着てみようと思うようになった。すずかとて女の子である。着ようと思える服のバリエーションが増えるのは嬉しいことである。
しかし、蔵元翔太というすずかの友人は不思議な人である。今までは、姉に勧められようが、ノエル、ファリンのメイドに勧められようが、着ようと思わなかった暗色系の洋服を彼に褒めてもらえたら、という一心で着ようと思ったのだから。
そういえば、友人になろうと思ったのも彼とアリサが初めてだった。アリサは理由が分かっている。要するに類は友を呼ぶという系列の友人なのだ。彼女はすずかと同じ。違いは、すずかの吸血鬼という特異性は見えないが、アリサは金髪と白い肌という目に見える形で見えるという違いである。だが、アリサと違い、翔太は彼女たちの正反対の人物だといっていい。友人もたくさんいる。だというのに、彼とはこうして友人を続けている
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