無印編
第十五話 裏 後 (アリサ、恭也、すずか、忍)
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うのだった。
◇ ◇ ◇
高町恭也は、今日の昼間に撮られたなのはと翔太、ユーノ、そして自分が写ったプリクラを見ながら複雑な感情を抱いていた。
「あれ〜、恭ちゃん何を見てるの?」
リビングのソファーに座ってプリクラを見ていた恭也だったが、お風呂上りの美由希に声を掛けられた。特に隠すつもりもなかった恭也は、プリクラをテーブルの上を滑らせて、美由希の前まで持っていく。
美由希は、そのテーブルの上を滑ってきたプリクラを手に取ると花を咲かせたように笑った。
「わぁ〜、プリクラだよね。なのはとショウくんとユーノと恭ちゃんだね」
どうしたの? これ、と聞かれたので、恭也は昼間に撮ったと正直に答えた。その表情は、やはり何かを抱え込んだように晴れることはなかった。
「どうしたの?」
そのことに気づいた美由希が恭也に尋ねるが、恭也はやや口ごもったかと思うと、考えを巡らせるように天井に視線を向ける。その間、美由希は何も言わなかった。恭也がきっと何か複雑な感情を抱いていることを悟っていたから。何を考えているのかは疑問だが。
やがて、考えがまとまったのか、恭也はふぅ〜、と息を吐き出すと、ポツリと口を開いた。
「いや、確かになのはに友人ができたことをは喜ばしいことだ」
「うん、そうだねぇ〜」
一ヶ月前は、家族みんなで暗い顔でなのはに友人ができないことに暗い顔をしていたのが嘘のようだ。今では、こんな風にプリクラを撮れる友人までできた。
「ショウくんは礼儀正しいし、目上の敬意も忘れない。なのはにも優しいようだ」
「うんうん、最近の子にしては珍しいぐらいできた子だよね」
だが、そこで恭也は一気に暗い顔になった。そう、確かに喜ばしい。翔太は、なのはの友人としては理想的だといっても言い。ここでもしも、最初にできた友人が、いじめっ子のような存在だったら、嫌味な存在だったら。なのははもっと酷いことになっていたかもしれない。もしかしたら、もう一度、引きこもってしまうかもしれない。それを考えれば、翔太は高町家にとって理想的な友人であることは間違いない。
だから、だからこそ、ただ一点だけが気にかかる。
「これで、彼が女の子だったら言うことはなかったんだが」
「……きょ、恭ちゃん、それってどうなの?」
半ば呆れたような声を出す美由希。美由希からしてみれば、深刻そうな表情で考え込んでいた恭也の胸のうちがこんなのだったのだから仕方ない。
だが、恭也は本気だった。確かに翔太はなのはにとって理想的な友人だろう。ただ一点を除いては。その一点は彼が男の子であることだ。
恭也の手の内にもあるのだが、最初の一枚。翔太となのはが肩を寄せ合って二人で写っているプリク
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