無印編
第十五話 裏 後 (アリサ、恭也、すずか、忍)
[1/10]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
親友である月村すずかの家から出てきたアリサが目にしたものは裏庭であろう森から出てきた四人の姿だ。
一人は、もう一人の親友である蔵元翔太。一人は、すずかの姉である忍。後、二人はアリサの知らない人物だった。だが、それでも翔太の横に寄り添うように歩いている同年代の少女が高町なのはであろうことは簡単に推測できた。
アリサ・バニングスは、翔太の隣に寄り添うように歩く少女が気に入らなかった。
そこは、そこだけはアリサたちのものなのに、我が物顔で歩いている少女が気に入らない。ただ、それだけだ。
もちろん、アリサだけが翔太の隣を独占しているわけではない。彼にだって他の友人がいることも付き合いがあることも分かっている。親友だからといって、他の友人との付き合いを否定するほど器量の狭い女ではないことを彼女は自覚している。
だが、それでも、高町なのはだけは例外だった。なぜなら、彼女は、翔太を一人独占しているから。彼にだって友人との付き合いがあろうとも優先順位は明白だった。学校、塾、アリサたちの英会話やお茶会、その他友人。この順番が翔太の中に確立していた優先順位だったはずだ。だが、何の前触れもなく唐突に現れた高町なのは。今まで確立していた優先順位に割り込み、塾やアリサたちの英会話やお茶会よりも上位に割り込んできた女の子。
如何にアリサとすずかが翔太の親友とはいえ、学校や塾に割り込むことは不可能だった。塾をずる休みして遊びに行くことなんて提案しなかったが、仮に提案しても翔太ならば、反対することは自明だ。だが、高町なのははどんな手段を使ったか、塾よりも高い位置に自分の優先順位を持っていた。
つまり、アリサは悔しかったのだ。自分ができなかったことを高町なのはがあっさりと実現して、悠々と翔太の隣にいることが。だから、アリサ・バニングスは高町なのはが気に食わない。
「ここで会ったのも何かの縁だから、仲良くしてくれよ」
アリサとなのはがにらみ合っている間に翔太が言うが、無理だと思った。目の前の少女と自分は決して相容れることはないだろう。お互いにお互いが許容しない。なぜなら、お互いに欲しい居場所は同じなのだから。そして、その居場所は、高町なのはを許容できるほど余裕はない。
だから、アリサ・バニングスは高町なのはを認めない。認めないがゆえにまるで翔太の言葉が聞こえなかったかのように高町なのはを故意に無視した。
「ショウ、今から帰るんでしょう? あたしも、帰るから一緒に帰りましょう」
高町なのははあえて誘わない。そもそも、アリサとなのははこの時点で何の関係もないのだ。お互いを許容しないと分かっている。ゆえの無関心。だから、誘わない。アリサが今誘っているのは、翔太ただ一人である。
アリサは、翔太がす
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ