無印編
第十五話 裏 中 (なのは)
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―。
なのは一瞬、答えを見つけることを拒否した。だが、自然となのはの頭は一番なのはが否定したかった解を導いてしまった。
―――なのは以外の誰かがジュエルシードを封印した。
その結論はなのはにとって脅威だった。翔太に唯一上回るなのはがなのはである存在意義とも言うべき魔法を使うことができる。ひいては、ジュエルシードを封印することができるという要素がなのは以外の誰かも持っているということに他ならないのだから。
それはなのはにとって脅威だ。もし、もしも、その人もジュエルシードを探していて、もしもなのはよりも優秀だったとしたら、きっと翔太はなのはのことなど捨ててその人へ走ってしまうかもしれない。それは、なのはにとって否定しなければならない現実だった。だが、その現実はタクシーに乗っていれば自然と近づいていてしまう。
―――また、またあの絶望感を味わうのか。
なのはは先週のあのすべてを失うかもしれない恐怖を再び感じていた。座っているためあまり目立たないが、足が震えている。もしも、地面に立っていたなら膝をついて崩れていただろう。それほどの恐怖だ。もし、翔太が近くにいなければ、寒気すら感じ、自分の肩を抱きしめて、温もりを逃がさないようにしていたかもしれない。今、それをかろうじて回避できているのは翔太が隣にいるからだ。誰でもない高町なのはの隣に。だから、まだ温かさを感じられる。この現実が嘘ではないと信じられる。
壊したくない。失いたくない。
それがなのはにとっての今のすべてだった。あんな暗かった過去なんていらない。未来もいらない。この翔太の隣に立って温かさを感じられる今だけでいい。この今を壊したくない。失いたくない。
だから、もしもこの『今』を壊すようなことがあれば、そのときは――――。
なのはの心の内を知らず、翔太とタクシーを乗せたジュエルシードが発生したであろう土地へと二人を運ぶのだった。
◇ ◇ ◇
―――可愛い。
大きな門をくぐって西洋風の左右の扉が開く片方の扉から出てきた少女を見て、なのはは素直にそう思った。
黒い服を身に纏った女の子。なのははあまり好きではない色だ。黒が穢れているような気がして、理想である翔太の隣に立つには、あまりに不釣合いな気がして。しかし、それらを鑑みてもなのはは、黒いワンピースを身に纏った少女を可愛いと思ったのだ。
女の子であるなのはでさえそう思ったのだから、翔太は言うまでもない。一瞬、呆けたような表情をしたかと思うと、すぐに取り繕って、彼女を褒めるような言葉を言う。彼女は、その言葉を聞いて頬を染めていた。
そのやり取りを見て、なのはは何とも形容しがたい感情に襲われた。いうなれば、羨ましいという気
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