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リリカルってなんですか?
無印編
第十五話 裏 中 (なのは)
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ができるようだ。だが、なのははそれを拒否した。せっかく翔太と一緒に撮った初めてのプリクラなのだ。なのはの表情がどうであれ、消すなんてもったいなくてとてもできそうにない。だから、なのはは一枚目をそれで承諾した。

 さらに撮影は続く。だが、二枚目は真ん中にユーノを挟んで、三枚目は後ろに恭也も足した状態で撮った。特に恭也は仏頂面というのはどうなのだろう、と慣れてきた三枚目には演じた笑みを浮かべているなのはは思った。

 三枚のプリクラの撮影が終わり、待つこと五分程度、プリクラといわれるように同じような写真が何枚も写ったものとして出てきた。どうやら、全部で6枚が3セット。合計18枚らしい。三種類をそれぞれ3枚ずつではさみで切って翔太がなのはに渡してくれた。

 気づけば、どれにも落書きがしてあった。なのはと翔太の初めてのツーショットである周囲が花で囲まれたプリクラにはなのはと翔太の洋服の部分に今日の日付と『海鳴市探索にて』という落書きがしてあった。

 なのははそれらのプリクラを胸に抱きながら、一生の宝物にしようと心に決めた。



  ◇  ◇  ◇



 タクシーでジュエルシードが発生した場所へ向かう途中、なのはの心の内は期待と不安で揺れていた。

 期待は、ジュエルシードが発動したことによる期待だ。ジュエルシードを封印できるのはなのはだけ。ならば、ジュエルシードを封印すれば、また翔太に認めてもらえるはずだ。それはなのはにとって至上の喜びである。甘いものを食べたときのように甘美なものである。それを得られるのに期待しないはずがない。

 もう一つの不安は、この場所に向かう途中で翔太が話していた内容によるものである。彼が口にした『すずかちゃん』という言葉。親しみ具合から察するに相当親しい友人なのだろう。親しい友人というのは嫌でも先週の嫌な感情を思い出させる。あの足の下から崩れていきそうな絶望感と不安感。翔太の親しい友人がいるというだけでそれを感じてしまう。自分以外と楽しそうに話しているのを見るのが嫌だった。もしかしたら、ジュエルシードを封印するなのはよりも、彼女を優先してしまうのではないかという不安である。

 それらの期待と不安に揺られている最中、それらを一気にかき消す出来事が起きた。

「……ジュエルシードの反応が消えた?」

 無意識のうちに呟いてしまった。

 そう先ほどまでは頭の隅で嫌というほどに存在を主張していたジュエルシードの反応が不意に消えたのだ。綺麗さっぱりと。いくら意識を集中させて細かく探ったとしても欠片も反応を見つけられない。聞いた話によるとジュエルシードは自然に消えることはない。もしも、消えるならなのはは必要であるはずがない。
 だが、こうして反応が消えた。それが意味するものは――
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