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リリカルってなんですか?
無印編
第十四話 裏 (アリサ、なのは)
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ちがサッカーに興じている中に昨日喧嘩したはずの彼も混じってボールを追いかけているのだ。今朝の段階では、まだ仲直りなどしていない風だったのに。昼休みの短時間で彼らは仲直りしてしまったらしい。
 これでは、朝、憤慨したアリサの立つ瀬がない。確かにすずかの言うとおり仲直りできたことは、良いことなのかもしれないが。しかし、これでは、意味がないのだ。

 ―――ようやく、あたしがショウのためにしてやれることができたのに。

 アリサの最近の不満はそこだった。
 蔵元翔太は、基本的になんでも一人でできてしまう。勉強もクラス内での立ち回りも今日のようなことも。アリサにとって親友とはお互いに無条件に助け合える仲のようだと思っている。だが、アリサは翔太に孤独から救ってもらった。ならば、アリサは翔太に何ができている。そう問いかけても答えは返ってこない。せいぜい、一週間に二回程度の英会話だが、それでは、翔太から与えられたものと等価とは思えない。

 要するにアリサは翔太のために何かがしたかったのだ。

 今回はその絶好の機会だと思ったのだが―――

「やっぱり一人で片付けちゃうんだから」

 アリサの呟きは屋上から風に運ばれフェンスの向こう側へと消えていった。



  ◇  ◇  ◇



 高町なのはは、ようやく出会えたというのにそれに水を差すような翔太の顔に困惑していた。

「ショウくん、そのガーゼ、どうしたの?」

 翔太の前では笑っていたいのに、翔太の口元に張られたガーゼがすごく気になった。ガーゼを張っているということは口元に怪我をしたということだ。その理由になぜか、すごく嫌な予感がした。

「ああ、えっと、ちょっとね」

 まるでなのはの嫌な予感を裏付けるように曖昧に誤魔化す翔太。その表情でなのはは自分の嫌な予感が的をいていることを確信した。だから、翔太に嫌われるとか嫌われないとか考える前につい問い詰めるような声でさらに問いかけてしまった。

「ちょっと?」

 しまった、と思ったときには既に遅い。これで、翔太が誤魔化したのだからなのはには聞かれたくないことだったに違いない。それなのに自分は踏み込んでしまった。ああ、しまった。どうしよう、どうしよう、と半ば混乱したような思考がなのはの中に走る。

 だが、なのはの心配は幸いにして杞憂だったようだ。特に翔太はなのはの発言を気にするようなことはなく、やや気まずそうに頬をかいただけで、嫌悪感を示すことなく口を開いた。

「昨日、ちょっと喧嘩になっちゃって、殴られたんだよ」

「え?」

 翔太の発言が信じられなかった。

 ―――ショウくんが喧嘩? 殴られた?

 それは、なのはにとってとても信じられないことだった。
 蔵元翔太はな
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