第四話
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せるから後に続いてどこでも良いからカプセルに入るんだよ」
「はい」
ポアーチがカプセルの内部に背中を預けるようにしてもたれ掛かると、カプセルの開口部が左側からせり出してきた扉によって閉じた直後、カプセルと室内を隔てるようににアクリル板の様に透明な仕切りが下からせり上がり、ポアーチの入ったカプセルはゆっくりと壁の奥の方向に倒れ、そのまま更に奥へと入って行く。
どうなるのかと仕切り越しに中を覗き込もうとすると、ポアーチの入ったカプセルの位置に別のカプセルが上から降りてきた。
「おおっ」
そんなギミックに感嘆の声を上げる。
エルシャンはここが、前世で子供の頃見たアニメのような仕掛けに胸が高まる。
この世界の技術はあまりに地球より進み過ぎていて実感が湧き辛く、今の位のギミックの方が彼には実感を与える。所詮技術の進歩とは階段のように順を踏んで進んでいくものであって、一足飛びに何段も進歩の過程抜かしてしまった技術を見せられても、それは既にオカルトな存在に等しかった。
カプセル内に入り背中を預けるととても気持ちの良い感触だった。特殊な緩衝用ジェル入りのクッションで長時間の戦闘での肉体的負担を抑える言う仕様だが、そもそもパイロットは連続1時間程度の戦闘でフィジカル以前にメンタル面での限界を向かえるため、ベッド代わりにこの施設を利用する者が後を絶たない始末だった。
「おおっ!」
その感触を味わう間もなく音も無くカプセルの扉が閉じると、そのまま後ろに倒れこむ。その感覚にまるで遊園地のアトラクション気分で歓声を上げる。完全にこの状況を子供のように楽しんでいた。
地球の現代日本に比べると、フルント星は文明が進んでいる割に文化の面で遅れている。そもそも楽しむということに対しての貪欲さが地球人と比べると乏しいとエルシャンはこの5年間で幾度と無く感じてきた。
トランプのようなカードゲームの類は、フルント星にも存在するが、どちらかと言うと賭け事の道具としての存在であり、子供が遊ぶようなゲームは存在しない上、コンピューターゲームの類も、ゲームと言うより教育的な要素が強く、遊びながら学ぶという方向だった。
同様に漫画やアニメの類も存在したが、ゲームと同じく歴史などの学習内容を漫画やアニメで分かりやすく解説する目的で、しかもこれら全ては子供向けに知能的発達を促す知育素材で、現在はある程度脳の発達が進んだ段階で、必要な情報は脳に直接刷り込む装置が存在するので非常にニッチな存在となっていた。
当然、遊園地のような施設は存在しなく、公園にブランコなどに似た遊具が置いてあるくらいだった。
無論、近所の公園で弟『で』遊んだのは楽しい思い出であり、母が妹達を乗せたベビーカー越しにその様子を撮影したビデオを両親と一緒に飽きずに何度も鑑賞したほどだった。
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