暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルってなんですか?
無印編
第十三話 裏 (士郎、なのは、すずか)
[3/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 ―――ショウくんがっ!?

 たった今、翔太について考えたなのはが翔太という名前に反応しないはずがない。今まで、寝ていた身体をその名前に反応して上体を起こした。
 しかし、上体を起こして考える。翔太が翠屋にいることが分かったからといって、どうなるというのだろう。今日は、翔太から休むように言われている。ここで、のこのこと翠屋に顔を出して、翔太と鉢合わせしてしまったら、自分は外を出歩いていることになり、翔太からの伝言を破ってしまうことになる。

 もしかしたら、それが原因で嫌われてしまうかもしれない。嫌だ、そんなことは絶対に嫌だ。昨日、せっかく、とても幸せになれう言葉を貰ったのに。

 だが、なのはの心の隅に翔太と会いたい気持ちが生まれていることも確かだった。この一週間、翔太と一緒でなかった日はない。必ず、自分だけに向けてくれる笑みを一日一回は見れていた。だが、今日は見ていない。見られない。それがなのはに確かな寂しさをなのはに与えていた。

 翔太に会いたい。しかし、会うことで嫌われることを考えると、会いにいくことはできない。会いたいが、会いにいけない。なのはにとっては究極の二律背反だった。

 ベットの上でどうするべきか考え込むなのは。会いたい、翔太の顔が見たいと主張するなのはもいれば、翔太に休養日といわれているのに不用意に会って、嫌われたり、呆れられるのはごめんだ、と主張するなのはもいる。

 どちらの言い分も理解できる。簡単に言ってしまえば、快楽を取るか、安寧を取るかである。翔太と会えば、快楽は得られるだろうが、安寧はない。この場に留まれば、安寧は得られるだろうが、快楽は得られない。

 さて、どちらが正しいか。危険性が未知数である以上、ここまでくれば、もはや個人の好みだろう。行動派の人間であれば、多少の危険を承知で前者を選ぶだろうし、慎重派の人間であれば危険を回避して後者を選ぶだろう。

 しかしながら、なのはにはそれを選ぶだけの経験が足りなかった。行動派、慎重派、それらを切り分ける経験がなのはにはない。過去に行動に移して幸いを得られたのなら、行動派を選んだだろう。過去に行動に移して痛い目を見たなら慎重派だっただろう。だが、なのはは行動に移せたことがない。故に、彼女にはどちらを選ぶべきか分からない。

 だから、恭也の一言がなのはの行動を決定付けた。

「父さんが、翔太くんと一緒にケーキをご馳走するらしいぞ」

 この一言でなのはは翠屋に行くことを決めた。

 理由は簡単だ。なのはの父親である士郎が誘っているのだ。つまるところ、士郎の許可が出たことに変わりない。もし、翔太にあって何か言われたとしても士郎の責任にすればいいのだ。そのいわゆる責任転嫁というところまでなのはが計算したかどうかは分からない。な
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ