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リリカルってなんですか?
無印編
第十二話 裏 (なのは、恭也、アリサ)
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ううん……」

 なのはが気を取り戻したのは、倒れてから数時間後のことだった。彼女の視界に最初に入ってきたのは、知らない真っ白な天井だった。

「なのはちゃん、大丈夫?」

 声のした方向に少しだけ首を傾けてみると、彼女がよく知る彼女を唯一友人と言ってくれる蔵元翔太の心配そうな顔があった。その顔を見た瞬間、霧のようにもやがかかっていた意識が一瞬でクリアになる。
 翔太が今日は休みにしようか、といったことを思い出し、それを問いただそうと、上体を起こしたが、不意にまた眩暈が訪れ、上体を起こした瞬間にまた重力に身を任せてベットに身を沈める結果となってしまった。

「なのはちゃん、ダメだよ。貧血で倒れたんだから、急に起き上がったりしちゃ。もう少しで恭也さんが来るから、ちゃんと病院に行くといいよ」

「そんなことより……ジュエルシードは?」

 心配そうな顔をして言ってくれる翔太だったが、それよりもなのはが気になっていることがあった。つまり、今日のジュエルシード捜索のことだ。なのはにとって翔太に魔法が使えるところをアピールできる唯一の行動だ。それが休みになることは、すなわち、機会を一度損失することに他ならない。だから、聞いたのだが、翔太はその問いに少し怒ったような表情をした。一年生のときでさえ、滅多に見たことがない翔太の珍しい表情だった。

 その表情を見たが故になのはは何も言えなくなる。

 なのはが何よりも恐れていることは翔太から嫌われることだ。いや、翔太に限らず不特定多数だが、翔太の場合は、特にという枕詞をつけるべきだろう。だから、そんな風に滅多に見せない怒った表情を見せた翔太になのはは何もいえなくなる。いや、頭の中では先ほどの言葉をいかにして弁解しようか魔法で鍛えたマルチタスクでいくつも同時に必死に考えている。

 もし、ここで翔太がなのはに前のような笑みを向ける条件を出したのならば、なのはは一も二もなく飛びついただろう。

 さらに、翔太の問いに答えないのは、直感で、正直に理由を言えば怒られるとわかっていたから。呆れられると分かっていたから。だが、何も言わないのも状況が悪くなると分かっている。だからこそ、なのはの頭の中では同時に十数の思考が流れていた。

 だが、翔太はなのはが答えないのをみて、今度は別のものへと話しかけていた。

「レイジングハート、原因に見当は?」

 ―――レイジングハート言わないでっ!!

 ―――Maybe magic practice.

 なのはが信じていた愛機は、なのはの願いもむなしく、あっさりと主を裏切って、翔太の問いに答えていた。
 その答えを聞いて、翔太がはぁ、とため息を漏らす。

 ―――どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう。

 なのは
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