暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
幻想天舞(2) 〜交絶する光の涯て〜
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浮かされたような昂揚感は最高潮に達している。
 その興奮が増すほどに……反して思考は冷たく鋭く。
 まるで薬物の副作用でおかしくなった人間か、はたまた戦闘狂のような状態。

 心臓の鼓動が激しさを増すごとにギアが上がっていくようだ。
 それでも自分はこれが正常なのだと、何故か強く認識している。

A goddess(神なるもの), A Demon(魔なるもの), Banish the malice of all(人ならざるを討ち滅ぼす)

 空いている手で、五体目の竜牙兵の核を砕く。
 戦闘をしながらの詠唱にも関わらず、集中力は最高純度を保っている。

 この昂揚感、集中力が切れてしまえばその時点で次はない。
 屋上へ辿り着いたその後まで、この集中は持続させていなければならないからだ。

 攻撃を受ければそこで終わり、駆けるこの足が止まっても終わりだ。

 こちらに斬りかかる二体を同時に吹き飛ばしながら、呼吸をなるべく整えつつ走る。

Invitation the heavens ray(天光は誘い), Open the hells war gate(黄泉路は開く)

 魔術刻印から風属性付与(エンチャント)を発動。
 
 主に土属性の術式で編まれている竜牙兵を相反する属性で突く。
 幾分か攻撃が通りやすくなるというだけだが、今はその僅かな優位さえも欲しい。

Light comes out of his own eyes burn even(出ずるは己が瞳さえ焦がす白光)

 最後十一体目の竜牙兵を土屑にしながら、ようやく4階へと到着した。





 まず視界に入るのは先行して敵集団を切り払うセイバー、その後ろに士郎と凛。
 竜牙兵の数は…………目測では正確にわからないほどの数、およそ60体は超えているか。
 後ろにマスター二人を背負い、圧倒的な物量とキャスターが張り巡らせた障壁などの策略で、どうにも詰めきれていないらしい。

 幸いなのは4階を教室にしている生徒たちは、授業で移動教室だったためにこの階は無人であることだ。

 廊下は端から端まで、距離にして数十メートル。

 接敵さえすれば剣騎と魔術師では勝負にすらならない。
 逆に接近を許さなければキャスターはセイバーに対して優位を保てることになる。
 
 この程度の距離ならばセイバーは一足二足跳びで踏破するだろうが、それはキャスターにしても同じ。
 その気になれば離れたあの位置からでも、瞬時に大魔術を発動してマスターを直接狙い撃てるだろう。

 凛はなんとか防衛出来るかもしれないが、魔術戦に関して素人同然の士郎は無防備そのもの。
 セイバーのマスターが士郎である以上好き勝手には
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