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故郷は青き星
第二話
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時は、ヨーグルトみたいにただドロドロで肉や野菜の味も全部均一に溶け込んだカレー味のソースが、食感が何故かサラサラとしたご飯の上に掛かってただけだからね」
「何それ、酷い」
「流石に苦情が殺到したらしくて、その後は食事に関してはかなりの頻度でアップデートが入ったな」
「でも次に出てきたのは、具も入るようになったの良いけど、逆にソースに具の味が溶け込んでいない上に、具にはカレーの味が染み込んでないシロモノが、妙に粒々感がはっきりしたご飯の上に掛かってたよね」

 そんな話の流れの中で、柴田は自分のカレーをスプーンですくい恐る恐る口元に運ぶ。そして目をつむり思い切って口に運ぶ。
「……旨い。旨い……けど」
 口にしたカレーは旨かった。特別な味ではないが基本は抑えている専門店でもない食堂でこの味が出たなら合格としかいえないだろうが、どうしても違和感が拭い去る事が柴田には出来なかった。
 確かにまだカレー自体に、足りない何かもあるのだろうが、そういった感じではなく何か別の理由による何かが、彼の味覚を通して違和感を訴え続ける。
「何か違うだろ?」
 メガネ君が面白そうに口元で笑みを作ってみせる。何故かそんな笑い方が彼にはぴたりとはまる。
「ネタ晴らしする? する?」
 大仏さんも面白そうに目を輝かせている。
「ちょっと待って、ちょっと。何か出そうなんだ」
 舌全体に広がるカレーの味を分析しようと味覚に脳のリソースを傾ける……舌全体……そこで柴田の脳裏に何かが閃いた。
「あれ? 俺は舌全体でカレーの味を感じてる?」
「正解!」
 2人は声を合わせて叫んだ。
「残念ながらまだ舌の各部位によって感じる味が違うと言う機能が実装されてないから、塩っ辛さも甘さも酸っぱさも苦さも、ついでに辛ささえも全部舌の全体で感じるんだよ」
「だからどうしても食事の時の違和感は消せないんだ。今後の大型アップデートに期待だね」
 メガネ君の台詞に柴田が、舌の味の感じる部位を分けるのに大型アップデートかよと思わず突っ込みを入れたのは仕方の無い事だった。

 その後、意気投合した3人は自己紹介して、フレンド登録──フレンド登録をしておけば、互いがゲームにログイン中ならばすぐに連絡が取れ、また任務などには同じチームとして参加して小隊を組むことも出来る──を済ませた。
 メガネ君の名前は、山田鷹二。19歳の大学生。大仏さんの名前は、尾津保次郎。20歳の大学生で2人は同じ学校に通う幼馴染でβテスト中もチームを組んでいて、今回の初陣イベントでも2人で3隻の母艦を沈めて生還していた。
「俺も母艦を撃破したんですよ。反撃されて墜とされましたけど」
「最後に気を抜いたんだね?」
「はい」
「エルシャンに説教されただろ?」
「……はい」
「彼は可愛い顔して説教が
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