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故郷は青き星
第二話
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食と比べて若干良さそうだと思うくらいだ。
 学食と違うのはカウンターの向こうにいるのがおばちゃんではなく、エプロン姿の綺麗なお姉さんが注文を受け付けていることだ。
「いらっしゃいませ注文はお決まりでしょうか?」
「あっ、じゃあカレーで」
 柴田は他のプレイヤーのアバターが美少女だろうが興味を示さないくせに、ゲームキャラの笑顔に照れたように思わずカレーを注文する。
「はいカレーですね。少々お待ちください……カレーはいりました!」
 配膳用トレーにカレーとサラダにスープ。そしてパイロット食用と上蓋にプリントされたカップのヨーグルトが出てくるまでの僅かな間に、この食堂で良かったと思うようになっていた。
「ごゆっくり食事を楽しんでください」
 笑顔で差し出してくるトレーを手渡しで受け取る時、柴田の顔にも笑みが浮かんでいた。単純な男である。

 軽い足取りで空いてるテーブルを探すと近くに誰も座ってない二人用のテーブルがあったのでそこに席を取る。
「またカレーもバージョンアップしてるな」
 背後から発せられた話し声に自分のカレーの事かと振り返ると、隣の二人用テーブルで自分と同じ年頃の2人の男が食事をしていた。一人のメニューはラーメン、もう一人はカレーを食べていて、そのカレーについての感想だったようだ。
「ラーメンも前に比べるとまた良くなってるな」
 そんな二人の言葉に柴田は疑問を覚えた。運営開始直後からプレイを始め、すぐにチュートリアルを受けて、そのままイベントクエストである初陣に参加している自分が初めてカレーを食べると言うのに、この2人は以前にもカレーを食べたことのあると言っているのだ。
「すいません。2人はβテスト参加者ですか?」
 柴田は思わず声を掛けていた。
「ん?」
 ラーメンをすすっていた男が顔を上げて柴田の方を向く。少々痩せ過ぎの小柄な体型で、顔はイケメンという感じでは無いどこか神経質っぽい目つきに、レーシック手術が発達し一般的になった今では滅多に見ない眼鏡をした男だった。
「さっきのカレーの話のことかい」
 もう1人のカレーを食べていた男は、こちらは対照的に太りすぎの巨漢で、顔立ちは同じくイケメンという範疇には無いが大仏さんのように優しい顔つきだった。
 2人は自分同様に現実の自分をベースとしたアバターを利用していると柴田は大した根拠も無く確信した。
「ええ、そうです。本運営からの参加者なら今食べてるカレー以外は知らないはずですから」
「確かに俺らはβテスト参加者だけど、まあ食事に関しては以前のは知らない方が良かったかもね」
 大仏さんはそう言って声を抑えて笑い始める。吊られてメガネ君も笑い出す。
「酷かったんですか?」
「酷いと言うか、全てが試験段階だったんだ。何せβテストだからな」
「最初に食べた
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