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故郷は青き星
第一話
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に、ダイブ中の脳から肉体への随意運動関係の命令はカットされる一方で、生理状況などを管理する命令はダイブマシーンのAIが代行しているので問題は無かった。
 そうでなければ、ゲーム中の動きにあわせて実際の身体が動いてしまい取り返しの付かない事故が多発する事になってしまう。

『艦隊司令部より通達。現時点をもって全兵装の使用を解除。イナーシャルキャンセラー作動。編隊各機パイロットは減速に備えろ』
 あきれるほど大雑把な戦闘開始指示で、戦闘に関する具体的な指示は無かった。とはいえプレーヤー達はチュートリアルを受けて、戦闘機の操作法やそれぞれの【敵性体】の兵装や行動パターン、攻略法などを学んだだけで軍事訓練を受けたわけではなく、隣を飛ぶ僚機と協力し連携して戦うなんて真似が出来るわけではなく、あくまでも個として戦うしかない。
 直後、強い制動がかかり機体が振動する。光速の60%程度の亜光速から急速に減速している為だった。人間の身体なら一瞬で熟れ過ぎたトマトのように潰れていただろうGにも擬体は耐え、プレイヤーは大きなGが掛かっているという自覚はあるものの苦痛を覚えることは無い。
 連盟の進んだ科学力をもってしても亜光速による戦闘は不可能だった。光速で移動する物体からは光すら脱出することは出来ないため、もっとも速いレーザー兵器でさえも亜光速では威力が減衰し、更には強力な威力を誇る荷電粒子砲や攻撃ミサイルなどは使用不能に陥る。更には搭載された重力波エンジンには機体の質量を100G加速させる程度の出力しか──それも十分馬鹿げた出力だが──なく、もし出力全開で右に方向を変えようとしても、本来機体が1秒後に到達する10万km以上先の地点から右に1kmずらす事すらできない。
 それは【敵性体】も同様で両者は音速の数倍から100倍程度の範囲で戦闘を行う。
 また、減速に用いられるイナーシャルキャンセラーとは機体下部に取り付けられた機体と同じ全長を持つ細長いフレームに搭載された重力波エンジンの一種で、エンジンをオーバーロードさせる事で短時間に強力な慣性制御を行い機体を戦闘可能速度まで減速させることが可能だが、使用後はエンジンは焼き切れ使用不能になり、機体からパージされる使いきりタイプの装備だった。

「行くぜ!」
 柴田は自らを鼓舞するために狭いコックピット内を震わせるように大きく吼えると、愛機を100体ほどの敵集団めがけて全速で突撃させた。
 機体を左右に揺らしながら小型の【敵性体】。通称エビ──SF/A-104などの戦闘機と同等のサイズでフォルムがシャコエビを思わせないことも無いという程度で、実際そっくりというわけではない──の攻撃を避けつつ、集団の中の30機ほどを視線入力でロックオンしてゆく。
 そして十分に接近してから「発射」と命令を出すと、機体に搭載さ
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