無印編
第十一話 中
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気合を入れるようにぐっ、と胸の前に両手を握り、ぐっと身を乗り出して真剣な瞳で、震える声で彼女の意思を告げる。
「わ、私は……ショウくんと、一緒に、ジュエルシードを探したいっ!」
つっかえつっかえだったが、僕は確かになのはちゃんの意思を聞いた。ならば、僕の返事は唯一つだ。
「分かったよ。僕も手伝うよ」
できるだけ柔和に言ったつもりだ。そして、僕の言葉を聞いたなのはちゃんは、少し驚いたような表情をした後ににっこりと笑ってくれた。
◇ ◇ ◇
「二人とも、ありがとう」
僕たちがジュエルシードを集めると決めたあと、ユーノくんがご丁寧に頭を下げてくれた。
だが、僕は何と言っていいか分からない。その決定は僕が決めたわけではなく、なのはちゃんが決めたからだ。僕はその意見に追従しただけ。お礼を言われるべきはなのはちゃんだ。
だが、そのなのはちゃんは、困ったような顔をして僕の顔を見ていた。どうやら、なのはちゃんも何を言って良いのか分からないらしい。
「お礼を言われるようなことじゃないよ。どちらにしても、ジュエルシードを放っておいたら、僕たちの街に被害が出ていたんだから」
うんうん、と隣で頷くなのはちゃん。最初から自分で言ってくれるとありがたいのだが。
「さて、しかし、僕たちがジュエルシードを集めるとなると話を通さないといけない人がいるね」
「え?」
なのはちゃんが、そんな人いるの? といった様子で声をあげ、小首をかしげている。
「ほら、なのはちゃんのお兄さん……ひいてはなのはちゃんの家族に話しておかないと」
なのはちゃんが選択したのは一つ目の方針。なら、これから放課後は殆どジュエルシード集めに費やされることになるだろう。僕もしばらくは塾を休まなければならないかもしれない。もっとも、塾と街の平和を天秤にかけた場合、街の平和に傾くのは当然の摂理ではあろう。
もしかしたら、日が暮れる頃までは探す必要があるかもしれない。ジュエルシードは暴走すると非常に危険なものだから。だからこそ、話を通す必要があるだろう。昨夜のこともあることだし。
それに、もう一つ、なのはちゃんが夜に外出する許可とは別に下心があった。それは、久しぶりに思い出したこと。この世界が『とらいあんぐるハート3』に酷似した事象を持つということ。アリサちゃん然り、忍さん然り、なのはちゃんのお兄さん然りだ。ならば、『とらいあんぐるハート3』の主人公―――高町恭也さんの最大の特徴もあるかもしれない。
すなわち、彼らが取得している剣術だ。
ゲームに関するシナリオの殆どを覚えていない僕としては、彼らがどれくらいの強さか覚えていないが、もしかするとジュエルシードに対抗できる―――
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