無印編
第九話 後
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いわれる魔法を使うための魔力を制御する道具らしい。つまり、これを使えば、お手軽簡単に魔法使いになれるということだ。
だが――――
「やっぱり、無理だよ」
「どうしてですか!?」
実に慌てたようにイタチくんが聞いてくる。だが、聞かずとも分かるものだろう。僕は、今まで平凡な小学生をやってきたのだ。前世にしても平凡な学生までしか経験していない。戦うといっても子供の喧嘩程度だ。それは戦いとも呼べないものだ。
そんな僕に急にあの得体の知れない何かと戦ってくださいといわれても無理な話だ。そう、たとえ魔法という名の武器を与えられたとしても、だ。それは、戦場で有名なデザートイーグルを一丁渡されて、さあ、戦って来いといわれているに等しい。そんなことで戦えるはずがない。
それを告げると、イタチくんは何かを決意したような顔になった。
「―――分かりました。無理を言ってごめんなさい」
「いや、こちらこそ申し訳ない。何もできなくて」
そう、申し訳ない気持ちで一杯だ。助けて、という声に反応してきたのに何もできないなんて。
だが、そんな僕の申し訳ない気持ちを汲んだのか、イタチくんは首を左右に振ってくれる。
「いえ、もともと僕が無理な申し出だったんです。だから、ここから先は僕が何とかします」
「何とかします、ってできるの?」
だが、答えはなかった。おそらく、彼自身も何とかできるとは思っていないのだろう。
「命は賭けてみるつもりです。でも、それでも……もし、何とかできなくて僕が死んでしまったら、貴方は今すぐこの街から逃げてください。これは魔力を持つものを追っています。僕の念話に反応があったのは二人。貴方ともう一人。おそらく、僕が死ぬと、貴方ともう一人の元をこれが襲撃するでしょう」
――――っ!?
「ごめんなさい。僕のせいで」
心底申し訳なさそうにイタチ君が謝る。
だが、よくよく考えれば、イタチくんが謝る必要はない。むしろ、僕はお礼を言わなければならないのではないだろうか。
「いや、君のせいじゃないよ。君が言うことが本当なら、どちらにしても、僕はこれに襲われていただろうからね」
そう、イタチ君が仮に助けを呼ばなかったとしても、これにやられていただろう。あの怪我の具合から見ても間違いない。森にイタチの死体が一つでき、そして、その後、僕も襲撃されるのだ。そして、何も知らない僕は無残な屍を晒していただろう。
ならば、むしろ、彼が助けを呼んでくれたことは、感謝すべきことだ。こうして何も知らないままやられるよりも対抗手段を示してくれたのだから。
「そもそも、君のせいじゃない。君を助けようとしたのは僕自身が決めたことなんだから」
そう、これに巻き込まれたからと
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