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くらいくらい電子の森に・・・
第五章
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ターのことなんですけど」
「ん?」

……ビアンキは少し口ごもってから、そのMOGMOGが最後に伝えてきた一言を、僕に伝えた。
「私、見殺しにしちゃったのかもです……」
「そんなことない。…ビアンキはセキュリティソフトなんだから、環境の安全を最優先してくれた。それだけのことだよ。ありがとな、ビアンキ」
マウスで、ビアンキの頭を撫でてやった。

やがてビアンキは、浅く寝息をたてて、寝てしまった。


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やがて、3限の終了を知らせるチャイムが鳴った。
誰もいなかった教室に、ぱらぱらと生徒が集まり始めていた。この教室は4限から法哲学の授業に使われるのだ。退屈な授業だから代返で済ませたいけど、今日は同じ授業を選択している友達に呼び出されているから、さぼるわけにはいかない。

『姶良、明日の法哲学出るか』
「まぁ…とってるけど」
『ていうか来いよ。…噂で聞いたんだけどさ、お前、MOGMOG持ってるんだろ』
「何で知ってるの?」
『アキバで並んだんだろ!?俺、あそこにいたんだよ』
「…へー。声掛けてくれればよかったのに」
『なんか怖そうなツレがいたんだもん。でさ、面白いプラグイン見つけたんだよ。絶対驚くから。法哲学、来いよ』

最近、こんなお誘いばっかだなぁ…と思いながら、携帯を切った。
……どうせ紺野さんがばら撒いたというソフトのことだろう。どのくらい話題になっているかを確かめて紺野さんに報告するのもいいかもしれない。
「よぅ、姶良同志。来たな」
背後のひな壇から、まるめた教科書で叩かれた。
「……仁藤に佐々木か」
「最近、サークル来ないじゃんかよ」
「…ちょっと、忙しくなっちゃってね」
相変わらず、何処かのディスカウント眼鏡屋で適当に買った、びみょうに似合っていないフレームの眼鏡とユニクロのフリース。『着られたらOK』のコンセプトは伊達じゃない。いつもつるんでいる佐々木も見るからにアキバによくいるひとなので、よく話しかけられる僕も周りからアキバ亜種と見なされている。
…親戚のおじさんの話だと、昔起きた『幼女を狙った連続猟奇殺人事件』の影響で、アキバ系は悉く犯罪予備軍として扱われ、発覚したら石もて追われた時代があったそうだ…今がそんな時代じゃなくてよかった。
「こんど俺のチャリ、メンテしろよー」
「あ、俺のも俺のも。オーバーホールしろよー」
……そういって彼らは僕の下宿にしょっちゅう入り浸って、僕が寒風吹きすさぶ中、凍えながらメンテしてる最中ずっと、首までこたつにもぐって漫画を読んでいる。で、たまに窓からぴょこっと顔を出して「よ、姶良。悪いな」とか型ばかりの挨拶をするのだ。あんまりそんなことが多いので、簡単なメンテは全員できる体制を整えようかと、メンテできない部員を集めて

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