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荒れ狂う狼(前編)

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「ぎょわあああああ!!!」

 ダンジョン奥深くに鎮座する狼型のモンスター、<ザ・トランシングウォルフ・アマテラス>は、俺達を見つけると飛び掛かってきた。アマテラスは銀色の毛皮を持つ狼で、三本の尻尾を持っていた。

「なんだこいつ!!」
「気をつけろセモン!そいつの攻撃に当たるな!!」

 ゲイザーが叫ぶ。

 俺は忠告通りに攻撃を避けると、予備の刀で片手剣スキル、《ヴォーパルストライク》を放つ。本来の2倍の射程距離を飛んだ衝撃波は、思いっきりアマテラスの額に激突した。

「ギャアアアア!!」
「まだまだ!!」

 俺はさらに片手剣スキル、《ホリゾンタル・スクエア》を放ち、アマテラスのHPを削る。アマテラスの6段重ねのHPの1本目が、半減した。

「ハァッ!!」

 ゲイザーがアマテラスの横っ腹に手のひらを当て、《流星拳》専用ソードスキル《メテオシュート(ゼロ)型》を放つ。0距離で放たれたソードスキルが、アマテラスのHPをさらに削り、HPは2段目に突入した。

「よしっ!!」
「まだだ。これからが執念場だぞ。・・・コハク!援護頼む!!」

 後方で待機していたコハクが、ゲイザーの声にうなずいて槍を構える。

 直後、それは起こった。

 アマテラスの黒くなった一本目のHPバーがはじけ飛び、同時にアマテラスの体毛が金色に変わった。

「ヴォアアアアアア!!」

 アマテラスは吠えると、回転を開始した。

「これじゃあ近づけない!!」
「コハク!!《シングルスラスト》だ!」

 ゲイザーの声で、コハクが槍スキル《シングルスラスト》を放つ。《妖魔槍》の効果で衝撃波が飛び、それがアマテラスに命中。回転が止まる。

「ガァァ!?」
「いまだセモン!」
「よしっ!!」

 俺はアマテラスに片手剣スキル《バーチカルスクエア》を発動。アマテラスのHPは四本目に突入する。

「また変化があるんですか?」

 俺はゲイザーに聞く。

「そうだ。奴はHPが一本削れていくごとに姿を変え、そのたびに強力になっていく。・・・コハク、しばらく回避が可能な体制をとってくれ。余裕がある時だけ支援をしてくれ」
「え・・・?」
「見ればわかる」

 俺とコハクがアマテラスを見ると、丁度アマテラスの二回目の変化が始まるところだった。

「「はぁ!?」」

 それを見た俺達は、絶叫せざるを得なかった。
 
 アマテラスの三本の尾のうち、真ん中の一本が横に裂け・・・龍の、顔になった。

「ゴギャアアアア!!!」
「ヴォァァァァァァ!!!」

 二つの首はそれぞれ叫び・・・

 黄金のブレスを噴出した。
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