本編前
第八話
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ていたらこの時期になったわけだ。
そして、その二人は今、ゆりかごの中で笑う秋人を見て「かわいい〜」とか歓声を上げながら、小さな手に自分の手を絡ませたりしている。この時期の赤ちゃんは近くのものを握る習性があるから。
小学生といっても女の子だ。やはり母性でもあるのだろうか。
「だっこしてみる?」
僕の突然の言葉に驚いていたものの、彼女たちはすぐさま笑って頷いた。
まずは、アリサちゃん。立ったままだと万が一の場合があるので、座らせて秋人を抱かせる。抱き方は僕の抱き方を真似してもらった。やはり、見るのと触れるのでは感覚が違うのだろう。笑いながら秋人をあやしていた。それを羨ましそうに見るすずかちゃん。
赤ちゃんといえども小学生が抱くには若干重い。そして、大事な弟を床に落とすわけにもいかないので三分程度で今度はすずかちゃんに交代した。やはりすずかちゃんもアリサちゃんと同様に笑いながら秋人をあやしていた。
肝心の秋人は、状況が分かっているのか分かっていないのか、きゃっきゃっ、と笑っている。
やがてすずかちゃんも三分程度で秋人をベットに戻してもらう。少し残念そうだったのが印象的だった。
「あ〜、やっぱり赤ちゃんって可愛いわね」
「そうだね。私にも弟か妹できないかな」
「そういえば、赤ちゃんってどうやって出来るの?」
「う〜ん、私は知らないけど……ショウ君は知ってる?」
なんとも答えにくい質問をしてくるんだろう。大体、話の流れから気づくな、気づくな、と思っていたのに。これは、芸人で言うところの押すな、押すなよ、というギャグに近いのだろうか。
さて、しかしながら、まさかここで子供に「赤ちゃんってどうやって出来るの?」と聞かれたときの心情が理解できるとは思わなかった。
僕は真実を知っているが、それをまさか正直に教えるわけにもいかないだろう。もしも、すずかちゃんのお姉さんやアリサちゃんの両親に知られたら僕の身が危険に晒されるような気がする。
だから、僕は心の中で彼女たちの両親に謝罪しながらも彼らを生贄に捧げた。
「僕も知らないよ。すずかちゃんのお姉さんやアリサちゃんのパパやママに聞いてみたらどうかな?」
ショウも知らないんだ、お姉ちゃんに聞いてみよう、とか彼女たちの口から聞こえたような気がしたが、気にしない。気にしたら負けだと思った。
その後は、三人でショッピングモールへと遊びに出た。アリサちゃんとすずかちゃんは洋服を見てきゃっきゃっ言っていたが、僕には何が楽しいのかわからない。仕方なくジュースを片手に二人を待っていたら、何故か怒られ、後半は僕が着せ替え人形になってしまった。結局、何も買わなかったが。彼女たちは何がしたかったんだろう。
洋服屋の後はゲームセ
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