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リリカルってなんですか?
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第八話
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いない。本当は世話もしたいけどそこは我慢だ。

「はぁ、親が子離れする前に子供が親離れするって言うのは寂しいものね」

 そういわれても、もともと親離れしているのだから仕方ない。そういっても両親には感謝している。少なくともこの年齢まで生きてこられたのは両親のおかげだし、自分で言うのもなんだが、気味が悪いといっても過言ではない僕を捨てずに育ててくれたのだから。

 そのことを伝えると親父と母親は揃って笑って「それでも、私たちの子供には違いない」と言ってくれるのだった。



 ◇  ◇  ◇



「ショウ〜、これどうなってるんだ?」

「ショウ〜、この地図記号ってなんだよ?」

「ショウ〜、なんか、答えの文字数が合わないんだが」

 三者三様に僕に同時に助けを求める。しかも、全員同じならまだしも、それぞれ助けを求める教科は異なり、算数と社会と国語だ。

 初日の午後、僕の部屋では、勉強会が行われていた。

 テスト前だからという理由ではない。ゴールデンウィーク中に出た宿題を片付けるためだ。
 長期休暇にかけて大量の宿題が出るのは、中、高校生の頃は当たり前だったが、小学校ではなかった。聖祥大付属小で大量の宿題が出るのは、私立の学校ゆえだろうか。

 その宿題を片付けるために四人が僕の家に来た。
 と言っても僕は既に大半を片付けてしまっているから、もっぱら教える側に周っている。

「はいはい、そこは文章問題だからって、右の計算問題と変わらないよ。数字だけでも下線引いて、もう一度考えること。地図記号は、そこに地図帳の見開き三ページ目。文章題で線の後に来る文章が答えと思わない。そこは、前の文章だから」

 僕は聖徳太子じゃないといいたいところだが、何とかすべての質問に答えることができた。我ながら神業だとは思う。にも関わらず、目の前のクラスメイトたちは、そんなことは出来て当然だ、といわんばかりに―――

「そっか、やってみるわ」
「じゃ、借りるな」
「そうなのか? 1、2、3……おっ、本当だ」

 礼も言わずに自分たちの問題に取り掛かった。先生の話が本当なら、彼らも学年上位30人の中に入るはずなので、きっかけさえ教えてやれば、後は自分たちで何とか出来るのがせめてもの救いだ。もしも、これで手取り足取り教えなければならなければ、僕が後五人は必要だろう。

「大変だな、学級委員長は」

 くいっ、と小学二年生にも関わらず眼鏡をかけているこの中で唯一質問してこなかったクラスメイトが、世話をする僕を皮肉るように言ってくる。

「何で君までいるの?」

 彼の成績はトップ5に入るぐらいに高い。この程度の問題なら、僕に頼ることなく自力でも可能だろう。なのに、なぜか今日の勉強会に彼も参加してい
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